やまいぬは書かねばと思った

へたれ女子大生やまいぬは今日も走る

ロンドンで王子様に会いました#4

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前回までのあらすじ

 

→新入生の皆さんとハンバーガー食べた

 

 

 

今回は、いつもより少しだけ写真多めの!!予定!!だよ!!!

 

 

 


 

 

 

何はともあれ、ハンバーガーを食べ終って、皆でぞろぞろ外に出た。

 

 

私たちがこれから通うことになる語学学校は、ロンドンのど真ん中にあって、

 

 

徒歩で国会議事堂とかロンドンアイとか行けるようなとこだった。

 

 

てなわけで、さっそく皆で行ってみましょうってことになり。

 

 

と言っても、私は正直、ここら辺の記憶が曖昧だ。

 

 

自分がくっついて歩いてる皆さんの名前もいまいちわからない、

 

 

自分がこれからどこに向かって歩くんだか、何を見に行くんだかも、

 

 

その時は、よく分かっちゃいなかった。

 

 

しばらく経ってから、

 

 

「あ、あの時観たあれが国会議事堂か」

 

 

「あれがナショナルギャラリーだったのか」

 

 

とか、ガイドブックやら見て理解した。

 

 

いまいち感慨に欠けるから、改めて自分でもう一回行ったりしたし、

 

 

そもそも近所だから、後日、他の人たちと、

 

 

今度はちゃんと仲良くなった友達と行く機会があって

 

 

良かったなあ、って話がここで書けるのは、まだまだ先なんだけどね。

 

 

 


 

 

 

何はともあれ書いていきましょう。

 

 

 

最初に向かったのはロンドンアイ。

 

 

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ロンドンで一番有名な大きい観覧車だ。

 

 

卵みたいな形のカプセルがゆっくり回っている。

 

 

 

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あー、そういや、1回も乗らないで帰ってきたなあ。

 

 

そうだ、この日はどんより曇天で、雨が降ったり止んだりしてた。

 

 

まさに私の心模様そのままだ。

 

 

私たちはロンドンアイに続く川沿いの道をずっと歩いてたんだけど、

 

 

目の前にはけっこういい景色が広がっていて、

 

 

川の向こうには、私だって聞いたことがあるビッグベンだって見えるのに、

 

 

どうしてだろう、私はやっぱり一人ぼっちで歩いていた。

 

 

皆の輪の中に入れなくて、

 

 

でも、景色の写真ばかりも悲しいから、

 

 

無理やりはしゃいで、

 

 

「ねぇ、撮ってくれる?」だなんてさ。

 

 

 

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ここら辺は、ただただ所在なく、ぽつんと歩いてた気がする。ひたすら。

 

 

聞こえないし、聞いてもらえなかった。

 

 

一緒にいるのに、一緒にいない。

 

 

私の隣に、誰も並んで歩かない。

 

 

うーん。悲しかったなぁ。

 

 

その後は橋を渡って、ビッグベンの近くまで行って、また写真を撮った。

 

 

川の反対側から向こうのロンドンアイが見える。

 

 

台湾の美人さんが、何やらケータイを見てはしゃいでいる。

 

 

ちらりとのぞくと、

 

 

女の子二人がカメラに背を向けて、

 

 

ロンドンアイに二人で作ったハートをかざしている。

 

 

多分、カップルの定番ポーズか何かなんだろうな。

 

 

台湾の美人さんと韓国のお洒落さんが二人でそれをやろうとするのを私は何回か手伝った。

 

 

勿論、私は撮影係だったけど。

 

 

でも、その後、私があんまりしょぼんとした顔をしてたのか、

 

 

「一緒に写ろうよ」と言われて、

 

 

二人とそれぞれ2ショットを撮った。

 

 

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撮った写真を見たら、ちょうど強い風が吹いてしまって、

 

 

私の髪の毛はライオンみたいになっていた。

 

 

あらら。

 

 

私が一人で歩いてたのは、

 

 

まず、私が引っ込み思案で上手く馴染めなかったのが大きいけど、

 

 

もう一つは、皆の歩くスピードが、てんでばらばらだったからだ。

 

 

仲良しの台湾美人さんと韓国お洒落さんは、二人で足取りも軽く

 

 

すたすた歩くけど、

 

 

フランスとスペインの背の高い二人の美人さんが、めちゃめちゃマイペースだった。

 

 

気づくと、遥か後ろで撮影会をしている。

 

 

皆がどんなに先を歩いて、見えなくなりそうになろうがお構いなしだ。

 

 

スペインの美人さんがモデルさんみたいにポーズとったら、

 

 

後ろで子ども連れのパパさんがこっそり真似してたのを、たぶん、気づいたのは私だけ。

 

 

橋を全員、渡り終えた時、皆で電話ボックスの前で写真を撮った。

 

 

 

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皮肉なことに、この写真がけっこう素敵に撮れている。

 

 

「留学で友達沢山できました!」みたいなね。

 

 

ちょうどSNSにあげると、いかにも映えそうな、そんな写真。

 

 

一見すると、本当に、とっても素敵な写真なんだけど、

 

 

写っている私の顔が、何とも言えない。

 

 

分かるよ。当時の私よ。

 

 

けっして社交的ではない私にしては、あの時、けっこう頑張ってたと思うよ。

 

 

出来上がった写真の私は、少しでも恰好よく写ろうと思って、コートの前をわざわざ開けて写ったんだけど、

 

 

何かちぐはぐな感じになってしまって、おまけに深い赤と中に着ていた深緑の相性が最悪だった。

 

 

うう。悲しい。

 

 

この写真にショックを受けた私は、もともとあんまり好きじゃなかったこのコートを、

 

 

ますます嫌いになってしまって、それ以後、あんまり着なかった。

 

 

ごめんね、お母さん。

 

 

だって、皆、お洒落で、美人で、気まずかったんだ。

 

 

防寒ばっちりのでっかいコートが。

 

 

おまけにこの時、私はスマホを、雨に濡れた道路に落っことしてしまうという失態を犯した。

 

 

外国でスマホが使えないなんて、考えただけで恐ろしい。

 

 

幸い、水たまりではなかったんだけど、しばらく調子が悪くて、

 

 

「ねぇ、写真撮ってよ」と頼んでも、

 

 

シャッターを押すと画面が黒くなってしまうと言われて、

 

 

何回か試しても、だめ。

 

 

あの時のきまずさったら、ない。

 

 

撮り終った写真をシェアしようとなった時に、

 

 

皆が何でもないようにair dropを使ってシェアし始めたんだけど、

 

 

Air drop?

 

 

ナンダソレハ。

 

 

私はそんな機能が自分のケータイについてるなんて、その時、初めて知った。

 

 

いざ、私もやってみん。

 

 

……???

 

 

……できない。。

 

 

なんでか知らないが、ロックがかかっているらしく、できない。

 

 

私だけ、できない。

 

 

この時が一番、焦ったし、辛かった。

 

 

こんな思いしてまで、頑張ったのに、肝心の写真が手に入らないなんて。

 

 

そんなのってないだろう。

 

 

グーグルでロックの解除を検索しようにも、

 

 

あんぽんたんの私はポータブルWi-Fiを寮に忘れてきてしまって、それもできない。

 

 

外国の人は勿論、日本語が読めないし、日本人の二人も分からないと言う。

 

 

あれは、今度こそ本当に泣くかと思ったけど、何とか我慢した。

 

 

 


 

 

そっからは、

 

 

 

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お土産屋さんに寄ったり、

 

 

 

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紅茶屋さんに寄ったり、

 

 

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和菓子屋さんで一瞬だけ注目されて、

 

 

 

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何故かイタリアのお兄さんの撮影会が始まって、

 

 

 

途中でスターバックスに寄ってから、

 

 

最後に、ナショナルギャラリーのある広場に着いた。

 

 

 

 

 

 

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後ろの方で、背伸びして顔をひょいと覗かせてるのが、私である。 

 

 

うん。頑張った大賞を君にあげたい。お疲れ。

 
 
ちなみに、途中で寄ったスタバの店内無料Wi-Fi使って、
 

ググって、air dropを無事、解除する事ができまして、
 

めでたく努力の結晶のような写真たちを手に入れまして、
 

こうして使えるものは使っていこう精神のもと、
 

ブログに惜しむことなく使っている次第であります。
 

ここら辺の記憶はおぼろで、
 

覚えているのは、
 
 
ボスさんが大き目のカップケーキを紅茶と一緒に頼んできて、
 

「うわぁ、さっきハンバーガーやらポテト、たらふく食べたのに
 

よく入るなあ……」
 

って思ってたら、案の定食べきれなくて、
 

やまいぬちゃん、これ全部、後、食べていいよ」
 

と渡されてしまって、
 

内心ヒイヒイ言いながら食べた事ぐらいだね。
 
 

「食べていいよ」ってなんやねん。
 

小腹が空いてる時に食べたら、ちょうどよく美味しかっただろうカップケーキも
 
 

満腹な時に食べるのは苦行でしかなかった。勘弁してくれ。
 
 

イヤ、と言えない気弱な人間であります。
 
 

 
 
さて、ナショナルギャラリー前に着いてから、
 

(ナショナルギャラリーってのは、モネの絵とかが観れる素敵なギャラリーで、
 

それはまた今度、改めて、ブログに書きたい。行ったからね。一人で)
 

解散、という事になり、私は学生寮に帰ることに。
 

さぁ!!!!!!!
 

ついに!!!
 

ついに!!!ここまでやってきました!!!
 

長かった!!!
 

ここまでですでに、しんどい思いを散々書き連ねてきたのですが、
 

言うならば、ここが第1章の山場ですよ!!!!
 

しゃらさん!! ここです!! 前言ってた、事件ってのは!!!
 

何なら、このくだりを書きたいがために、このブログを6週間の頭から書くなんて無謀
な事を始めたようなものです。
 

どうぞ、苦笑いしてやってください。
 

線!!!
 

解散、と言っても、正確に言えば、
 

「夕飯の時間」がある、ホームステイの子たちはここでお別れしましょう、
 

という事になり、私は学生寮だったけど、すでにへとへとだったから、
 

一緒に帰らせてもらうことになった。
 

途中まで、日本人の一個下の女の子と一緒に帰った。
 

どこかでちらりと書いたけど、
 

「留学先で出会ったお互い英語が苦手な日本人」
 

「格好悪いし、せっかくだから、あまり日本語は使いたくない」
 

というバリアのせいで、上手く距離感が掴めずにいた。
 

この子も英語はそんなに堪能ではないから、会話の輪にあまり入れず、
 

雨が降ったり止んだりした時に、私は傘を忘れたので(馬鹿でしょう)、
 

時々、中に入れてもらったんだけど、
 

英語で喋るのは、なんか恥ずかしいし、
 

日本語も嫌だし、で、隣にいるのにお互いほぼ黙っていた。
 

あまりに気まずいので、何回か話しかけたけど、
 

さっき書いたような理由のことを、やんわりと言われて、
 

すぐに会話をやめてしまう。
 

だから、お互いに傘の下から美しいロンドンの景色を眺めて、
 

カワイーとか、キレーとか、おずおずとビューティフルとか、一応つぶやいたりもした。
 

半日、そんな感じだったから、私はうっすらと、ボスさん程ではないにしろ、
 

この子に対しても苦手意識を抱いてしまっていた。
 

二人で異国の地下鉄で、
 

オイスターカードとやらの使い方やら、
 

最寄り駅までの行き方を
 

片言の英語で何度も駅員さんに聞いた。
 

あっちの駅員さんってのは、日本ほど「ご丁寧」ではなくて、
 

「あっち行ってこっち」
 

みたいに指さしてオシマイ、みたいな人が多い。
 

勿論、親切で愛想の良い人もいるけどね。
 

そうして、その年下ちゃん(ちなみに彼女は女子大出身だそうだ)と別れて、
 

いよいよ一人になった。
 

ちゃんと、最寄り駅、
 

Angelまでは着いたんだ。
 
 

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問題はここからだった。
 

「あれ……ここからどうやって帰るんだっけ……?」
 

時刻は夕暮れ。
 

まだ、この時点であんまり危機感はなかった。
 

むしろ余裕ぶっこいてた。
 

だって、私は昨晩、ハルカに教えてもらったのだ。
 

学生寮からangelまでの道を。
 

学生寮→angel
 

おっと。
 

そうだ、昨日はそのまま「隣駅の」チキンのお店に寄ったから、
 

Angel→学生寮
 

の道が分からない。
 

いや。
 

何とかなるだろ。
 

だって、来た道を戻れば良いだけなんだから。
 

大丈夫。大丈夫。
 

まだ夕方だし、のんびり帰ろう。
 

と、のんきなことを考えて、私はお散歩しながら帰ることにした。
 

学生寮はちょうど、angelと、もう一つ先の駅の、ちょうど中間にある。
 

Angelから徒歩15分くらい。
 

まあ、何とかなるだろ。
 

私は、もう遠い遠い昨晩の記憶を頼りに、けっこうゴキゲンに歩き始めた。
 

横断歩道を1回渡って、道沿いにずっと歩いた……はず。
 

道沿い……???
 

大通りの交差点がいくつもいくつもあるのだが。
 

確かスターバックスを通り過ぎた。
 

あれ、スターバックス二つあるな……??
 

夜と夕方じゃ、街の景色が全く違って見えるな……
 

……
 

……??
 

まぁ、いいや。
 

それっぽい道、てきとうに歩いてみるか。
 

大丈夫。ダイジョーブ。
 

いやぁ、馬鹿だよねぇ。
 

何、悠長なこと言ってんだ。
 

でも、この「見知らぬ土地で迷子になる」っていう歌詞に出てきそうなシチュエーションは私の心を大いに躍らせた。
 

鼻歌でも歌いだしそうなくらい。
 

だって、やっと私は自由を手にした。
 

ここには、オカンもオトンもいない。
 

言葉の通じない外国の新入生の皆さんも、
 
 

仲良くなれない日本人もいない。
 

自由だ。
 
 

めっちゃ楽しい。
 
 

見るもの全てが新鮮で美しい。
 
 

沈んでいた気持ちが、華やいでくる。
 
 

ああ。やっと、息ができる。
 

そんな気持ち。
 

私はこの時、沢山、写真を撮った。
 

迷子になりながら、当の本人は、のんきに楽しく写真を撮った。
 

目に映る全てを写真に収めたかった。
 

どんどん日が暮れてあたりが暗くなっていくのも構わずに。
 
 

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天使という名の駅前の、小さな花屋が愛おしい。
 

ホームレスのおじさんに寄り添う犬と、
その隣にしゃがんで楽しそうに話しかけるお姉さんの横顔。
 

地下鉄からは路上パフォーマンスの演奏が小さく聞こえる。
 

私はあの時、冒険のただ中にいた。
 
 

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LOVE WHAT YOU DO
 

あなたのする事を愛せ。
 

まさに今の私にぴったりの言葉だと思った。
 

日本と違って、こんな素敵な言葉が何気なく日常にあるなんて、
 

なんて素敵なんだろう。
 

私はうっとりと通り過ぎた。
 

どんどん歩いて行くと、小さな中庭があった。
 

見ると、門は開いている。
 

私は迷わず、中に入った。
 

中は小さな森のようで、小道が続いている。
 

小さなベンチが並んでて、仲の良さそうなカップルが一組座って話している。
 

中庭は柵で囲まれていて、
 

柵越しに見たお家が明かりに照らされて素敵だった。
 
 

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この間までのサムネのイラストは、
 

この中庭の横の通りの写真を真似して書いた。
 

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暗い小さな森の道を進んでいくと、今度は川に続く階段が見えた。
 

やっぱり鍵は開いていたから、下って行った。
 
 
 
川面に光が浮いている。
 

夜の濃紺と明かりの黄色。
 

ドキドキしながら進んでいった。
 
 

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どうしてだろう。怖くない。
 
 
美しい美しい、誰も私を知らない国で、夜の色に染まって、
 
 
どこまでもどこまでも、私は一人で歩いて行ける、
 
 
そんな気がした。まるで熱に浮かされて。
 
 
でも、そうはいかないんだ。
 
 
私は橋をくぐって、小船の横を通り過ぎると、
 
 
もうそこは行き止まりだった。
 
 
戻らなきゃ。
 
 
どこに?
 
 
……私はどこに戻れば良いんだろう?
 
 
あれ……?
 
 
ここまでですでに1時間が経過していた。もうすっかり暗い。
 
 
私はひとまず、もと来た道を足早に引き返して、
 
 
駅に戻った。
 
 
もう川も花屋も光も闇も、優しくなかった。
 
 
急に、それは怖いものになった。
 
 
私は昨日の記憶を頼りに、今度はさっきと違う道を選んでみた。
 
 
それでも学生寮はちっとも見つからない。
 
 
「あのね、スーパーマーケットが見えたら、学生寮はすぐそこって覚えてね。通り過ぎ
ないように、それを目印に曲がってね」
 
 
その小さなスーパーマーケットがいつまでたっても見えてこない。
 
 
おかしいな。
 
 
私は何べんも何べんも、駅と交差点から伸びる大通りを行き来した。
 
 
歩いてみて、
 
 
「たぶん、この道は間違っている気がする」
 
 
と思ったら、また引き戻すの繰り返し。
 
 
駅のすぐそこのスターバックスの女神が意地悪にこちらを見ている。
 
 
途中で疲れて、パン屋さんでサンドイッチとヨーグルトとジュースを買った。
 
 
晩御飯として。
 
 
ちゃんと部屋に戻って、安心して食べようと。
 
 
私は晩御飯の入った紙袋を片手にまた歩いた。
 
 
歩いて歩いて歩いた。
 
 
スタッフの人にもらった地図を、なんで置いてきてしまったんだろう。
 
 
どうしてあの時、私は大丈夫だと思ってしまったんだろう。
 
 
何でたった一度教えてもらっただけで。
 
 
ああ、ちゃんとポータブルWi-Fiを鞄に移しておけば、
すぐに検索してナビで帰れるのに。
 
 
見ると、携帯の充電は5%になっていた。
 
 
充電器なんて持ってきてない。
 
 
どうしよう。
 
 
歩いていたお兄さんに、
 
 
「すみません、この名前の学生寮、場所知りませんか」
 
 
半泣きで聞いても、勿論、分かるはずがない。
 
 
どうしよう。どうしよう。
 
 
何でこんな日に限って、ヒールをはいているんだろう。
 
 
それは、少しでもお洒落に、初めての友達に思ってほしかったから。
 
 
もう足の裏の感覚がない。
 
 
ロンドンの天候は変わりやすい。
 
 
なんと、雨まで降ってきてしまった。
 
 
傘までもっていないなんて、私はどこまで馬鹿なんだ。
 
 
携帯の充電が、また減ってしまった。
 
 
使えなくなるのも時間の問題だ。
 
 
びしょびしょになりながら、駅の案内板の地図を見ていると、
 
 
 
タバコくさいおじさんがニヤニヤと話しかけてきた。
 
 
返事もせずに逃げ出す。
 
 
ガサガサッ
 
 
ずぶ濡れだったせいで、紙袋の底が抜けてしまった。
 
 
それはちょうど、私がさっきくぐった橋の上。
 
 
サンドイッチはぶちまけられて、ジュースは転がり、
 
 
ヨーグルトは蓋が空いて、私の靴にべっとりとついた。
 
 
よりによって、刺繍が施してあるところに。
 
 
涙は出なかった。
 
 
どうしようもなくて、ただ空を仰いだだけだった。
 
 
その仰いだ顔にまた雨は降り、
 
 
最悪だ。なんなんだ、これは。
 
 
もう、なんなんだよ。
 
 
私、ここで死ぬんじゃないだろうか。
 
 
大声で泣けるもんなら、今すぐにでも泣き出したいのに、
 
 
私はジュースだけ拾って、また歩く。
 
 
ふと、お母さんの声を思い出した。
 
 
「いい? 面倒くさがらずに、学生寮の住所はちゃんと控えておきなさいよ」
 
 
私はなけなしの充電を使って、「メモ帳」を開いて、渋々書いておいた
学生寮の住所を、ボールペンで、ガイドブックの裏表紙に書き写した。
 
 
もう、充電は2%
 
 
私はあのおじさんがいないのを確認して駅に戻って、
駅員さんにその住所を見せた。
 
 
駅員のおじいさんは、案内板の地図を使って、丁寧に道を教えてくれた。
 
 
私が覚えられないので、道順を書いてもらっていいですかと聞くと、
 
 
奥から、紙の地図を持ってきて、
 
 
私のボールペンを使って、ルートを書いてくれた。
 
 
「いいかい。この通りに、まず目の前の大通りをまっすぐ歩くんだよ。
 
 
そうすると今度はこの通りにぶつかるから、そこを曲がって、
 
 
丸つけとくからね、いいかい、ここを曲がるんだよ、
 
 
そしたら最後にこの細い道を曲がると着くよ」
 
 
私は何度もお礼を言って、歩き出した。
 
 
地図は雨に濡れて、すぐにぐしゃぐしゃになって、ボールペンは滲んだけど、
 
 
とにかく歩いた。必死だった。
 
 
途中で心配になって、コンビニに寄って、
 
 
「この住所に行きたくて、この地図をもらったんですが、この道、私あってますか?」
 
 
レジのお兄さんはしばらく、ぐしゃぐしゃの地図を見て、住所の走り書きを見て、
おもむろに自分のスマホを取り出すと、
住所を地図のアプリで検索してくれた。
 
 
「大丈夫あってるよ。もうすぐだから頑張りな」
 
 
そのコンビニでもう一度、サンドイッチとヨーグルトを買って、
お礼を言って、歩いた。
 
 
あ。
 
 
スーパーマーケット。
 
 
あった……
 
 
それは改めてみると、本当に小さくて、気づかずに通り過ぎてしまいそうだった。
 
 
やっと着いた……!!!!!
 
 
もう迷子になって2時間が経っていた。
 
 
まっすぐたどり着けば20分の道を。
 
 
私はもう狂喜乱舞の勢いで、学生寮の扉に駆け寄った。
 
 
鍵をインターホンにかざすと、扉はついに開く、
 
 
……はずだった。
 
 
あれ????
 
 
おい、勘弁してくれ。
 
 
おい!!!!!!!!!!
 
 
それは地獄の迷子劇、最終章の幕開けだった。
 
 
皆さん、この長いブログにあと少しだけお付き合いください。
 
 
私だって、本当に早く帰りたかった。
 
 
なのに。
 
 
 
学生寮の扉が、開かない。
 
 
意味分からん。
 
 
そんなことあってたまるか。
 
 
もう気が狂うんじゃないかと思ってたら、たまたま他の学生がやって来て、
 
 
 
私を怪訝そうに見ながら、
 
 
ピッ
 
 
いとも簡単に鍵を開けた。
 
 
???????
 
 
 
私はもう何が何だか分からなかったけど、その男子学生の後に滑り込んだ。
 
 
私と彼はそのままエレベーターに乗った。
 
 
えっと……
 
 
私は4階を押した。
 
 
ピンポーン
 
 
さぁ、やっと帰れる。やったああああ!!!!!
 
 
 
11号室 12号室
 
 
あれ????
 
 
私の部屋は、確か24号室だったような。
 
 
あれ???????
 
 
あの時、ハルカに笑われながら、
 
 
4階24号室ね。オッケーオッケーと確認したはずなのに。
 
 
ない。
 
 
4階に24号室がない。
 
 
もうここまで散々、迷子になっていたから自分の記憶はちっとも信用できなかった。
 
 
もしかして、6階の間違いだろうか。
 
 
私は6階に行った。
 
 
ゲ。
 
 
さっきエレベーターで乗り合わせた男子と、また会ってしまった。
 
 
ものすごい、不審そうに見られている……気がする。
 
 
しかも6階にも24号室はない。
 
 
私は慌ててエレベーターに引っ込んで、8階に行ってみた。
 
 
ここも違う。
 
 
偶数階でさえ、記憶違いなのか????
 
 
他の階に行くも、違う。
 
 
もしかして、「4階」があってて、24号室が記憶違い??????
 
 
私は4階の12号室に戻って、そおっと扉を押してみた。
 
 
鍵はかかっていなかったようで、扉はすんなりあいた。
 
 
!?!?!?!?!?!
 
 
ハイ!?!?
 
 
扉を開けると、目の前に
 
 
パンイチ半裸のゴツいお兄さんがニンジンを切っていた。
 
 
もう出来うる一番の速さで扉を閉めた。
 
 
驚き過ぎて、声も出せない。
 
 
 
人間、本当にパニックになると、声が出せないらしい。
 
 
私はもう砂漠の遭難者みたいな気持ちで、上から下まで学生寮を彷徨う羽目になった。
 
 
エレベーターを何度も使うと乗り合わせた人に怪訝な顔をされるのが耐えられなくて、泣き泣き階段を使った。
 
 
分からない。もう本当に、何が何だか分からない。
 
 
もう半裸ニンジンのお兄さんがトラウマで、扉を開くのも嫌だ。
 
 
私はグランドフロアに戻って、人目につかない隅の方にひっこんで、しゃがみこんだ。
 
 
 
本当に本当に、格好悪くて情けなくて、死にたくなる程、惨めな気持ちだったけど、
 
 
ひん死のスマホをとりだして、急いでメッセージを送った。
 
 
 
その宛先は、まだ知り合って1日しか経ってないハルカ。
 
 
 
お洒落で、留学を楽しんでいて、高学歴で、良い人。
 
 
 
私は劣等感に震えながら、テキストを打ったのだった。
 
 
 
「かくかくしかじか、もう本当に困ってしまって、どうしようもないので、
 
 
 
すごく申し訳ないのだけれど、どうかグランドフロアまで迎えに来てもらえませんか」
 
 
 
もう自分の、何もかも、信じられなかった。
 
 
 
世界一の大馬鹿やろうのアンポンタン。
 
 
 
ついに充電は切れてしまった。
 
 
 
私はもう惨めだし、寒いしで、文字通り、ぶるぶる震えながら、
ハルカが来るのを待っていた。
 
 
 
ずっと、待っていた。
 
 
 
……ハルカは、来なかった。
 
 
 
カップルがふざけあう声も、男の子同士が酔っ払って騒いでるのも、
 
 
 
聞きながら、ずっと隠れていた。
 
 
 
後で聞いたら、ハルカはこの日、遠くに買い物に行っていて、
部屋に帰ってきたのは深夜だった。
 
 
 
突然、雷みたいな閃きが、私を全身を走った。
 
 
 
もしや。
 
 
 
もしかしてもしかして。
 
 
 
私は学生寮を飛び出した。
 
 
 
そして、走って行った先に
 
 
 
「第二学生寮」があった。
 
 
 

ぶるぶるぶるぶる、もはや痙攣しながら、
 
 
 
鍵をかざした。
 
 
 
ピッ……
 
 
あ、あいたーーーーーーーーー!!!!!!!!!
 
 
 
実は私がさっきまでいたのは「第一学生寮」で、
 
 
「男子寮」だった。
 
 
どうりで。
 
 
どうりで、すれ違う人みんな不審そうに見てくると思った。
 
 
 
そりゃあ、マッチョのお兄さんも半裸でニンジンを切るわけだわ。
 

私は2時間歩きまくって、さらに1時間男子寮を彷徨い、最後は身を潜めていた。
 
 
今世紀最大の馬鹿なんじゃないのか。我ながら。
 
 
なんて可哀そうな人間なんだ。
 
 
ちゃんと4階には24号室があって、
 
 
何も知らないルームメイトが
 
 
 
“Hi! How are you?”とか呑気に声をかけてきて、
 
 
 
憎しみを込めてアイムファインと返しておいた。
 
 
 
ちなみにこんな思いをして買ってきたサンドイッチは馬の糞みたいな味がした。
 
 
 
ヨーグルトは、何故かプロテインがたっぷり入っていた。
 
 
 
私は。
 
 
私は、
 
 
その夜、ベッドで少しだけ泣いたかどうか、
 
 
もう忘れてしまいました。
 
 
 
 
 
 
今日はロンドン二日目、後半戦のお話でした。
 
 
 
続きは、また今度。
 
 
 
やまいぬでしたʕ ・(エ)・ʔ
 
 
 

 
 
なんだお前 男なら
王子なんか 気取るなよ
優しい顔も言葉もいらない
乱暴に強引に キスしてくれよ
 

 

ロンドンで王子様に会いました#3

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前回までのあらすじ

 

→新入生、集合!!!!!




 

 

 月曜は基本、授業が無い。

 

 

ここにいるのは、皆お揃いの「新人」ばかりだ。

 

 

カフェテリアから、何組かに分けられて、ぞろぞろと教室に移動する。

 

 

着いた教室には10人くらいいただろうか。

 

 

一応、私はルームメイトの子の隣に座った。一応。

 

 

皆がぞろぞろ着席していると、何やら元気な先生がやってきた。

 

 

「ハァーーーーィ!!皆さんごきげんようーーーーー!!!!」

 

 

金髪でクネクネショートの、チアガールを思わせる先生。

 

 

先生の服は蛍光ピンクのTシャツだったか、派手な花柄だったか。

 

 

うう。苦手だ……

 

 

私は先生の「陽」のエネルギーでさっそく吹き飛ばされそうになった。

 

 

先生、そのまま、テーブルに置いてあった「おもてなし」をめちゃめちゃ勧めてきた。

 

 

手作りクッキー3種(勿論、特大)、何かのパウンドケーキ、バナナ、リンゴ、他にもあった気がするけど、忘れた。

 

 

ディズニーだったら、お盆の上のリンゴに手足が生えて踊りだしそうだ。

 

 

「さあ、召し上がれ!!!」

 

 

と、んな、いきなり言われても、誰も食べようとしない。

 

 

「アラ、皆、遠慮しないでーーーーーー!!!」

 

 

って言いながら、先生は自分でクッキーを食べ始める。

 

 

これが外国の洗礼ってやつか……

 

 

日本人には厳しいぜ、と思ったけど、他の国の人たちもおのおの苦笑いしてた。

 

 

だよねぇ。

 

 

全員、着席して、先生も一旦、「おもてなし」を休止したところで、

今度は気の遠くなるほど長い「お話」が始まった。

 

 

語学学校の先生たちの紹介やら、カリキュラム、緊急時の対応とか。

 

 

いや、まぁ、大事なんだろうけど。

 

 

長い。

 

 

長いよ、ティーチャー。

 

 

サービス盛り盛りのパワーポイントは終わりが見えない。

 

 

あと先生が気を利かせて、それはそれはオーバーな英語で話してくれるのだけど、

 

 

それはそれで、聞いてて疲れる。

 

 

何でか知らないけど、先生はしょっちゅう

 

 

「ウキ!」「ウキ!」と口癖のように言うので、

 

 

意識朦朧としながら(だってロンドン到着の翌朝8:30集合だ)、

 

 

「先生はサルなんだなぁ……」

 

 

とか考えてた。

 

 

まあまあ、限界である。

 

 

後日、めでたくできた友人と話して分かったことは、

 

 

先生はサルの真似をしてたんじゃなくて、

 

 

「OK!?」「OK!?」

 

 

と言ってたらしい。どうかしてるのは私の耳だった。

 

 

(でも友達も「あのウキ!の先生覚えてる?」って話し出したから、

特徴的だったのは確かだ)

 

 

私は目を開けてることに全力を注いでたから、

 

 

残念ながら、先生の話はスピードラーニングみたいに聞き流してた。

 

 

「アラ、皆、眠っちゃいそうねーー!!」とか言ってるのは聞こえたけど。

 

 

先生が何か4桁の数字を言って、皆、覚えてねーーとか言ってるのも、

 

 

「緊急時には私は皆の後についていこう」とかぬるい事考えてメモさえしなかった。

 

 

実は、この数字が、けっこう大切だったてのが後々、分かるのだけど。

 

 

先生の長い長い「はじめのお話」が終わってからは、

 

 

今度は一人づつ、学生証のチェックと、

 

 

ペアでプレイスメントテストを受けることになった。

 

 

先生と(これはウキの先生じゃない他の先生だった)2対1で軽い会話をして、

 

 

明日からのクラスが振り分けられるそうな。

 

 

順番が回ってくるまで、結構、暇である。

 

 

またウキ先生がクッキーやらリンゴをごり押しし始めて、ようやく皆、手を伸ばすようになった。

 

 

あ、そうだ。ペットボトルの水とかも配ってたな、ウキ先生。先着よ!とか言って。

 

 

ちなみにチョコクッキーは、めちゃめちゃ、めちゃ甘かった。

 

 

あま~い、とかじゃなくて、「あ、甘い…ッッ!!」ってなるやつ。

 

 

なかなかヘビーな甘々クッキーだった。あぶねぇ。

 

 

にしても、だ。

 

 

この待ち時間が、だいぶキツかった。

 

 

先生はゴキゲンにユーチューブからBGMとかかけてくれたけど、

 

 

そうもいかない。

 

 

頼みの綱の私の隣のルームメイトは、その隣の誰かさんと

ハイレベルな英会話で盛り上がっている。

 

 

反対側の私の隣の子はiPhoneに釘付けだ。

 

 

どっちにも頑張って話かけたけど、あっという間に会話が終わってしまう。

 

 

会話のキャッチボールというより、へなちょこの豆鉄砲を一人でしょぼしょぼ打っている気になる。

 

 

ちなみに隣のスマホガールにはネタが無さ過ぎて、

 

 

「見てみて、このアプリで録音すると店内BGM検索してくれるんだよ」

 

 

って、先生の流すBGMで試しにやってみせたら

 

 

(私はこれ最近、教えてもらってマイブームだった)

 

 

あー、それね。私も同じようなやつ持ってるよ、と一蹴されてしまった。

 

 

この悲しいBGM検索アプリ、なかなか実は6週間、活躍してくれた。

 

 

ロンドンのあちこちで拾った曲の一つ一つに思い出が詰まっていて、

 

 

今聞いても、胸がぎゅっとなってしまう。

 

 

こうして、私は両隣りの女の子との会話に失敗したわけで、

 

 

もう大人しくしてれば良かったんだけど、

 

 

それがさ。

 

 

聞いてよ。

 

 

後ろに日本人のイヤな女が座ってたのさ。

 

 

私が勝手に敵対視してただけだけど。

 

 

その人が、まぁブイブイトークを回してるわけだ。

 

 

私の真後ろで。

 

 

華麗に「ジャパントーク」を繰り広げている。

 

 

生き生きバリバリ、スピーキングしてるわけ。

 

 

小粋なジョークと突っ込みなんかも、知的に素敵に、兼ね合わせちゃってるわけ。

 

 

やめろおおおおおおお。

 

 

私の後ろでやめろおおおおおおお。

 

 

なんか焦るから、やめてくれええええええええ。

 

 

意を決して、

 

 

「あ、私も東京出身だよ!」

 

 

って振り向いたら、

 

 

「あ、ウン、私も大学、東京」

 

 

って一言、冷ややかに言われてオシマイ。

 

 

私はそそくさ、前に向きなおした。

 

 

あああああ。居心地が悪いよううううううう。

 

 

テストの順番はまだまだ回ってきそうにない。

 

 

私はここで暴挙に出た。

 

 

「ちょっとごめんね」

 

 

隣の子たちに謝りながら、はい出ると、

 

 

私はわざわざ、一列前、私のはす向かいの子のとこまで出向いた。

 

 

もうこの時点で私の色んな数字が削れまくってた。

 

 

もうどうにでもなれ!!!!!えいやー!!!!

 

 

「あの…!!! 私とお話してください!!!」

 

 

ドーン

 

 

「あ、あ、あ、あなたとお話したいです!!!!!」

 

 

ドドーン

 

 

私がコレ、イケメンにされたら、その一途さに胸打たれて結婚する。

 

 

ああ、悲しいかな、私は人選を誤ったらしい。

 

 

そもそも何でその子に話しかけることにしたかというと、

 

 

他の子たちがぎこちなくも談笑してるなか、

 

 

その子は一人ポケーっとして、かと思うと、立ち上がって、クッキーをもさもさ食べている。

 

 

追い詰められたその時の私は思ったのだ。

 

 

「きっと、あの子も人見知りに違いない!!!!

 

 

さっきからクッキー、地味に食べまくってるけど、あれは手持無沙汰で仕方なく食べているんだろう!!!

 

 

これは話しかけたら、お友達になれちゃうんじゃないの!!!!???」

 

 

この時の私はまさに「休み時間、一人で寂しそうにしてる転校生に話しかける委員長」だった。

 

 

(自分がボッチなのは棚上げ)

 

 

ところが、だ。

 

 

いざ、話しかけてみたら、オヤ、思ってたのとチガウ。

 

 

率直に言って、思い切り、怪訝な顔をされてしまった。

 

 

(どこから湧いてきた?????)的な。

 

 

しかし、私は遥々、「会いに来て」しまった手前、引き下がるに下がれない。

 

 

無理矢理、話をつづけたことで分かった事がある。

 

 

彼女は16歳(!)である

 

=単にお菓子大好き

 

=別に寂しいとか思ってなかった

 

=むしろ大きなお世話

 

 

オーマイガー

 

 

なんてこった。

 

 

16って聞いて、思わず

 

 

「若いね!!!?」

 

 

って言ったら、

 

 

「いや、あなたもね?」

 

 

って、なめんなよ、みたいな感じでムッと返されてしまった。

 

 

慌てて、「いやー私、英語、全然できなくて、なんかごめんねー」

 

 

って言ったら、

 

 

「うん、だから、ここに来てるんでしょ」

 

 

って、なおさら、ツンと返されてしまった。

 

 


 

 

 

 

ちなみに、私はクラス分けテストでB1.2だった。

 

 

Aがイエスとノーしか言えない人

 

 

Bがそこそこ

 

 

Cがネイティブ並み

 

 

で、それぞれA1、A2、A3と三つに分かれて、またさらにA1.1…と三つに分かれる。

 

 

まぁ、冴えないスタートだが、ぼちぼち、という感じ。

 

 

皆がテストを受け終わると、またウキ先生がやってきて、

 

 

「さぁ皆でお散歩しましょうーーーー!!!」だと。

 

 

まじで勘弁してほしい。

 

 

私のHPはすでにレッドゾーンに突入してるってのに。

 

 

私は昔から、コノ手の「ゾロゾロ皆で歩きましょう」みたいなのが大嫌いだ。

 

 

だって、嫌じゃん。

 

 

誰と歩くのか、とか、一人で歩いてると寂しいやつだな、とかさ。

 

 

こんなの中学、ぎりぎり高校で、もうオサラバだと思ってたのに。

 

 

もうこの時の私はすっかり元気をなくしていたから、もう誰にも話しかけなかった。

 

 

ぶすっと先生の後を一人でぶらぶらついていった。

 

 

皆、すっかり「お喋り相手」を確保して、楽しそうに歩いている。

 

 

「ボッチ」なのは、私と、もう一人冴えない日本人の男の子だけだった。

 

 

「あーこの『別に平気だし』って強がる感覚、昔よくあったなー」なんて。

 

 

ハタチで何やってんだって話なんですけどね。

 

 

例のイケイケ日本人オンナは相変わらず華麗にトークをキメてるし、

 

 

なんか日本人の女の子っぽい二人が並んで歩いてるのも見かけたけど、

 

 

意地になって、知らんふりした。

 

 

皆で学校の周りを散歩して、ウキ先生は近所のお菓子やさんで

 

 

「もーここのブラウニーが私を太らせるのよー」

 

 

なんて言いながら、ご主人から一切れもらって、つまんでいた。

 

 

実際、このお店は本当に素敵で、6週間で何回かブラウニーを買った。

 

 

 

ほら、素敵でしょ。

 

 

……って、写真を見せたかったんだけど、撮り損ねたらしい。

 

 

まだロンドンで勉強してる友達に写真を撮って送ってくれってSNSで頼んだら、

 

 

「いいよいいよー余裕だよー」って快諾したくせに、

 

 

案の定、忘れてくれちゃったらしく、

 

 

休日明けに学校行った時に、ちゃんと今度は撮るから!!!

 

 

って言ってたから、彼女が送ってくれたら、後で、ここに加えておきます。

 

 

しばしお待ちを。



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※送ってもらえました!(5/9現在)

 

 


 

 

 

やっと、お散歩が終わって解散になった時、時刻は昼過ぎだった。

 

 

うーん。へとへとだけど、家に帰るにはあまりに早い時間。

 

 

学校の中庭まで戻って来て、解散になったのだけど、

 

 

私はルームメイトの子を見つけ出して、聞いた。

 

 

「ちなみに、この後、何する、とか決めてたりする?」

 

 

さりげなーくね。

 

 

そしたら、

 

 

「友達と待ち合わせてゴハン食べるよ」ってさ。

 

 

あーーー

 

 

そうだよねーーーーー

 

 

やまいぬはどうするの?」って聞かれて、

 

 

「いや、うーん、

 

 

……ひとりで散歩する、かなぁ」

 

 

お通夜みたいな顔した私を見かねたのか、

 

 

「あ、じゃあさ、あの人たちにいれてもらえば?」

 

 

と言って示した集団は、

 

 

うおおおおお

 

 

さっきのイヤな女あああああ(が中心にできたっぽいグループ)

 

 

いやー、私、ほら、あれなの、シャイなの、人見知りで、だから、ちょっと無理かなーー

 

 

とか、もごもご焦って言い訳したら、

 

 

「大丈夫だよ。ほら、行っておいでよ。きっと楽しいよ」

 

 

うう。

 

 

これは行くしかなさそうな。

 

 

私はあんなに(内心)抵抗しまくってたボス女(これからそう呼ぶ)に、

 

 

頭を下げて言ったのだ。

 

 

「わたしも、いいいいいいっしょに、行っていい!?」

 

 

こんな屈辱あるもんか。くそう。

 

 

ボス女の「アラ」みたいな大きな目がイヤに覚えている。

 

 

その時は、「いっそ殺せえええ」くらいに思ってたけど、

 

 

後々、私は背中を押してくれたルームメイトに感謝する。

 

 

私がロンドンで一番仲良くなった女の子は、この中の一人だ。

 

 

もし、私がこの時、意地を張って、一人でお散歩していたら、

 

 

私は6週間をずっと一人で過ごしていたに違いない。

 

 

実際、さっき隣で同じく一人で歩いてた冴えない彼は、

 

 

見ると、いつも一人だった。

 

 

あ、途中から日本人の男子の友達ができてたっけな。

 

 

1回だけ、

 

 

「外国人の友達できた? 私、まだ仲良くなれなくて」

 

 

って話しかけたら、

 

 

「あーだめだめ。あいつら、何言ってるのか全然、分かんねーもん」

 

 

と、つまんなそうに言っていた。

 

 

私は、たまたま運が良かっただけだ。本当に。

 

 

 

 

 


 

さて、そのグループでランチしましょうということになった。



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内訳は、

 

 

(多分)イタリア人のお兄さん

(多分)イタリアかどこかの女の子

フランス人のお姉さん

台湾のお姉さん

韓国のお姉さん

スペイン語圏のどこかのお姉さん

日本人の女の子(私の一つ下)

ボス女(私の3つ上)

 

と、私の9人。なかなかの大所帯だ。

 

 

皆でぞろぞろ、感じの良いお店に入った。

 

 

通されたテーブルの真ん中にはデカいケチャップといかにも辛そうなソースが置いてあって、小さなお皿にトランプが一枚。

 

 

「これなんだろね」って誰かが言って、

 

 

「それきっと席番号だよ」

 

 

「なるほどね」って、また誰かが言った。

 

 

そこでおのおの、ハンバーガーを頼んだ。

 

 

あと、シェア用のポテト。

 

 

私ともう一人だけ、たぶん韓国の女の子がホットの紅茶も頼んだ。

 

 

ハンバーガーは出てくるのが、けっこう遅くて、

 

 

まぁ、私がそう感じただけなのかも知れないんだけど、

 

 

待っている間のお喋りがけっこう辛かった気がする。

 

 

写真の手前にいるのが、ボス女。

 

 

その隣の唯一男子、イタリア人のお兄さんはムードメーカー。おちゃらけ

 

 

その二人が中心に喋って、というか、

 

 

ボス女……って書くのも心苦しくなってきたから、

 

 

少しだけマイルドに、ボスさんにしよう。

 

 

ボスさんが、イタリアのお兄さんをいじって、隣の韓国と台湾のおしゃれ姉さんたちが笑う、盛り上がる、

 

 

みたいな感じだったような。

 

 

そうなんだ。テーブルは9人もいるから割と大きくて、

 

 

たまたまなのか何なのか、

 

 

お喋り上手の、盛り上げ上手が片側に集まってしまったから、

 

 

テーブルの反対側が静かになってしまった。

 

 

そうなんだ。私が座ってるほうは、静かだったんだ。

 

 

私の隣に日本人の女の子が座ったんだけど、

 

 

「日本人とは喋らない」

 

 

っていうバリアをお互い張ってたから、全然喋らなかった。

 

 

とにかく「何とかせにゃあ」と気ははやるも、うまくいかなくて。

 

 

今、思うと、それは何もテーブルのこちら側だけではなかったらしい。

 

 

皆、少しづつ、ちょっとづつ、困ってたし、頑張ってたんだろう。

 

 

だから、何か、「ネタ」というか、会話の種を見つけると、

 

 

何気なく、さりげなく、でも、逃さず、すかさず、言葉にした。

 

 

卓上のトランプも。見るからに辛そうなソースも。

 

 

なんか、そういうゲームみたいだなぁって思った。

 

 

勝ちとか負けとか、よく分からないけどさ。

 

 

私は勝てないのは重々承知で、

 

 

でも「負けてませんよ、全然、負けてはいないんだけどね、惜しいね」

 

 

みたいなのを、誰かに、審判みたいな人に、

 

 

言ってほしかったんじゃないかと。

 

 

自分では、そう思ってた。

 

 

諦めて黙ってしまえば、それは負けだ、

 

 

そんなみじめなこと、してたまるかってさ。

 

 

こなれたように、へっちゃらなように、カジュアルに。

 

 

フランス人の女の子のスマホの画面がバキバキだったから、

 

 

それを言葉にした。

 

 

会話、すぐ終わっちゃったけど。

 

 

ソースも、

 

 

「えー辛いよー」

 

 

って、皆と同じように大げさに顔をしかめてから、

 

 

「あれ、本当だ。イケるイケる」って。

 

 

面白いのは、皆が大なり小なり同じ心持ちだったから、「会話のネタ」が

巡回することだ。

 

 

あっちがソースの話をして、こっちがスマホの話をして、

 

 

一通り終わると、バトンタッチ。

 

 

「はーい、入れ替えますよー、皆さん、ついてきてますかー」みたいなさ。

 

 

また、だいたい同じくだりをお互い反対側で繰り返して、

 

 

それはちょっと奇妙だったけど、

 

 

皆がこのゲームにそこそこ真剣だったから、馬鹿にするやつはいなかった。

 

 

ちなみに、ハンバーガーはめちゃめちゃおいしかった。

 

 

あー、今、写真を探したけど、撮ってなかった。

 

 

それどころじゃなかったんだな。

 

 

ちゃんとした、ハンバーガーってこんなにウマいんだなって、

 

 

ちゃっかり、しっかり、ウマいモンはウマいと思うわけで。

 

 

一人で「うめぇ」「うめぇ」って地味に興奮してがっついてたら、

 

 

はす向かいの台湾の美人さんが、

 

 

お上品にハンバーガーをナイフで切り分けて、

 

 

手をいっさい使わずに召し上がってたから、

 

 

やっちまったなぁ、と。

 

 

もう食べちゃったんだけどさ。すでに。美味しかったよ、おかげさまで。

 

 

隣のイタリアの女の子が黙々とピクルスやらマッシュルームやら抜いてたから、それも

勿論「言葉」にしたんだけど、

 

 

そういや、あの大きなマッシュルームの話も「巡回」してたなぁ。

 

 

「何で抜いてるの?嫌いなの?」

 

 

「うん。嫌い」

 

 

「じゃあ、何でマッシュルームバーガー選んだの」

 

 

「こんなにマッシュルームが大きいと思わなくて」

 

 

「なるほどね」

 

 

私、一歩「リード」したくて、

 

 

大して好きでもないし、むしろ苦手だったけど、

 

 

「じゃあ、私が食べてもいい?」

 

 

って、内心「ウエー」って思いながら、その特大マッシュルームを食べたりなんかもした。

 

 

どうせ同じこと話すなら、皆で話せばいいんだけど、そうもいかずに

 

 

若干のタイムラグを経て、ネタの交代。

 

 

トランプのカードを回収して配り直す、みたいな。

 

 

ハンバーガーもやたら美味しかったんだけど、ポテトがまた、やたらめったら美味しくて、

 

 

シェアのポテトをこっそり、パクパクずっと食べてた。

 

 

あのチーズかかってたやつ、何であんな美味しいんだろうな。

 

 

この時点で、まだ誰の名前も、国籍も、よく分かっていなかった。

 

 

それは私だけではなく。

 

 

誰かが、たぶん、台湾の美人さんが

 

 

「皆の名前をここに書いて」って、

 

 

スマホのメモを回した。

 

 

「えーこれ、写メっていい?」

 

 

「あー私も」

 

 

なるほどなるほど。

 

 

私もそこに自分の名前を記入して、写真を撮らせてもらった。

 

 

でも、見知らぬ名前の並んだ画面は、やっぱり他人行儀で、

 

 

読み方も、そもそも誰がどの名前かも、結局よく分かんなかった。

 

 

「私の名前、必要とされてるんだろうか」なんて、いじけた事を考えながら、

 

 

ローマ字で書かれた自分の名前を見つめた。

 

 

実際、最初の一週間は誰からも(先生を除いて)私の名前を呼ばれなくて、

 

 

高1の時、2週間だけ行ったオーストラリアのホームステイでは

 

 

毎日毎日、不思議なイントネーションで名前を呼ばれてたのになぁ、

 

 

って、悲しかった。

 

 

ちなみにちなみに、私はこの日から、憑かれたように

 

 

「外国のハンバーガー」の虜になり、

 

 

一人で暇なときは、美味しいハンバーガー屋さんを探してさすらった。

 

 

そう。あの日、食べた、あのハンバーガー。

 

 

悲しいかな、私は病的な方向音痴で、あの日、皆に連れてってもらったハンバーガー屋さんは、学校からそんなに遠くないにも関わらず、

 

 

その後、一回しかたどり着けなかった。

 

 

一回だけ、適当に歩いて、迷子になったら、まぐれでたどり着いた。

 

 

でも不思議なことに、一人でのびのび快適に食べたら、

 

 

あの日ほどの感動は無かった。

 

 

美味しいは、美味しいんだけど。

 

 

一人だと、すぐ食べ終ってしまうし。

 

 

なんとも、うまくいかないものだ。本当に。変なの。

 

 

1人で食事すると、

 

 

「マダム」とか「レディー」とか

 

 

店員さんに、ちやほやしてもらえるのは、楽しいんだけどね。

 

 

 


 

 

 

今日はロンドン2日目、前半戦のお話でした。

 

 

続きは、また今度。

 

 

やまいぬでしたʕ ・(エ)・ʔ

 

 

 


 

 

 

あの日 食べたハンバーガーも

あの時 泣いたレミゼラブルも

いつか君と もう一度

それが 私の小さな夢です

ロンドンで王子様に会いました#2

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前回までのあらすじ

 

やまいぬの運命はルームメイト「ハルカ」に託された!

 

 

 

 

ちょっと前回は、ちゃんとやろうとして、プロットとか用意したら、思った以上にカチコチのへたくその私小説みたいになったから、

 

 

今回は、今まで通り、適当に脱線しまくりながら、楽しく書いていくよ!!!

 

 

ペースなんか気にしないよ!!!だから王子様はしばらく登場しないよ!!

 

 

さて。

 

 

「うわあ、久しぶりに日本語喋った~!」とハルカは笑った。

 

 

ハルカは黒いレザージャケットにスラリと長いジーンズをはいていて、

茶色のストレートヘア。近づきがたくなりそうなオシャレ美人のようで、ちらりとのぞく白い出っ歯が、親しげだった。

 

 

ロンドンでの生活に馴染んでいる、楽しんでいる、留学生の女の子って感じ。

 

 

そのチャーミングな出っ歯と、少し舌ったらずでゆっくりな話し方。

 

 

うわあああん良い人そう!!! 



私は泣いた。ちょっと泣いた。

 

 

あぁ、第一印象って大事だ。私は第一印象、絶対主義である。

 

 

ファーストインプレッションが「いい人そう!」「あ、私、この人と仲良くなれそう!」と思った瞬間に、私は警戒心を全解除する。

 

 

きゃっほう。好きぃ!!!めっちゃ好きぃ!!!

わーいわーい!!!聞いて聞いて!!!あのねあのね!!!

 

 

なんだろう。一瞬で、なついてしまう。犬だ、犬。

 

 

私の中の柴犬が尻尾をブンブン振り出してしまう。

 

 

何でも私の長年の友達にもなると、この尻尾は可視化されるらしい。

 

 

「かわいくて、かわいそう」by友人

 

 

しゃらくせぇわ。

 

 

ちなみに、ファーストインプレッションがよろしくないと、事態は逆転する。

 

 

私の中の犬がうなりだす。

 

 

「グルルルルル……」

 

 

ワンピースのチョッパーが人見知りで、初対面を前にすると、物陰に隠れてしまう(いつも隠れ切れてないけど)、あの感じに近い。

 

 

心の扉という扉をシャットダウンする。コンビニ店員さんからお釣りもらう時の方がよっぽど愛想がいいくらいだ。

 

 

「この人ニガテ」ラベルが貼られた瞬間に、ソイツはやまいぬ一族の敵である。

 

 

ともあれ、私はハルカに一目で懐いた。

 

 

そして、リビングの(恐らく)フランス人の二人と仲良くしようとしたのに、できなかったこと、抹茶のポッキーを断られてしまったこと、そもそもポッキーがハルカのポッキーと被ってしまった事なんかをワイワイ喋った。

 

 

「あはは。そうだよね~日本と言えば抹茶だよね~。私も渡した時、反応イマイチだったよ~。なんかね、抹茶って、知ってる人は知ってるけど、知らない人にとっては『グリーンティー??? ナニそれ苦そう』ってなるみたい」

 

 

そうなのか。知らんかった。私はてっきり、「オーウ、ジャパーン、イェーイ!」みたいになると思ってたや。

 

 

私はこの「大先輩」に甘え倒した。

 

 

「あのね、私、方向音痴でね、もし良ければ、駅までの道、教えてくれない!?」

 

 

英語だろうが、日本語だろうが、私はいつだってコミュ障全開である。

 

 

「いいよー。あ、じゃあ、一緒に今から駅行こっか~」

 

 

ええええええ。天使いいいい。

 

 

ハルカ天使いいいいいい。好きぃぃぃぃ!!!!ってなった。

 

 

というわけで、私たちはコートを羽織って、夜の街に繰り出した。

 

 

日本のようで、日本じゃない。

 

 

東京のようで、東京じゃない。

 

 

車が行きかう夜の大通りをオレンジの街灯が、ショーウィンドウの白い光が、照らし出す。

 

 

色んな色が、そこらじゅうに灯っている。石造りとビルの並び。

 

 

ハルカと一緒に横断歩道を走って渡った。

 

 

「ここでは、赤信号でも、どんどん渡るの。そのうち慣れるよ」

 

 

伸びる二つの道路の真ん中、時計台が立っている。その向こうにはさらに大きな交差点。

 

 

緑が光った。青が光った。

 

 

明るくて、暗い。

 

 

それは夜の中の明かり。

 

 

「綺麗だなぁ」

 

 

これが初めて見たロンドンの夜だった。

 

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そこから、私は背の高いハルカの横を少し大股で並んで歩いた。

 

 

駅までの道すがら、ハルカは沢山喋ってくれた。

 

 

あそこのスーパーは安くて、おいしい。

 

 

あのコンビニは高いから、だめ。

 

 

あそこの角には、雑貨屋さん。

 

 

向こうの角では、洋服が売ってる。

 

 

ふんふん。ふんふん。

 

 

私は「大先輩」の話をドキドキしながら聞いていた。

 

 

「ほら、ここが駅だよ」

 

 

学生寮から徒歩20分。急いで歩けば15分。

 

 

その駅の名前はAngel

 

 

「ああ、大丈夫だ」

 

 

私は思った。

 

 

「きっと、楽しい。大丈夫だ、私」

 

 

だって夜は素敵で、隣に頼れる人がいて、駅は天使だ。

 

 

だから、大丈夫だ。

 

 

その後、私たちはハルカのお勧めのお店で夕食をとるために周り道した。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「ここのお店はチキンが有名なんだってー」

 

 

私たちは明るい店内のカウンターから少し離れたところに座った。

 

 

なるほど、チキンか。

 

 

メニューをのぞき込むと、

 

 

「ウ。英語だ……」

 

 

そりゃそうなんだけども。そうなんだけどさ。

 

 

あっちのお店のメニューには、写真がない。

 

 

つくづく日本ってのは、便利な国だな、なんて。

 

 

づらづら文字が並んでいるだけで、どんな料理かは名前と短い説明のみで推測しなきゃいけない。

 

 

読めないことはないんだ。

 

 

分からないんだ。

 

 

Wingsってなんだ…??

 

 

羽…??  1/2と1/4ってどれくらい違うんだ…??

 

 

隣の人たちが頼んでいるのはメニューのどれとどれのセットなんだ?

 

 

 

オーダーは呼ぶのか、行くのか。

 

 

頭の中をハテナだらけにしていると、ハルカが言った。

 

 

「うーん。よく分からないから、私、聞いてくるね」

 

 

えええええ。ハルカあああああ。嘘だあああああ。先輩いいいいいい。

 

 

ハルカの英語はけっして上手くない。私とどっこいどっこいだ。

 

 

それでもちゃんと聞いて話している。きょどきょどしない。

 

 

ほえー。

 

 

聞くと、ハルカはすでに3週間いるという。

 

 

で、次の日曜にはもう日本に帰るそうな。

 

 

へえー。

 

 

オーダーはカウンターでするらしいよ~と言いながらハルカは戻ってきた。

 

 

そこで、上着だけ置いて、カウンターに行き注文することになった。

 

 

「あの、このbluemoonっていうの頼みたいんですけど」

 

せっかくだからお酒飲みたいよねーとさっき盛り上がったはいいものの、私は種類を全然知らない。

 

 

私はその場で目に入った棚の中の青い瓶を指さして言ってみた。

 

 

すると何だか知らないが、定員さんはイエスと言ってくれない。

 

 

テンパっていたら、ハルカが助けてくれた。

 

 

「グラスマークの下に文字が書いてあるでしょ。なんか、それがお酒の名前で、そこから選ばなきゃいけないみたい」

 

 

見ると、三角やら四角やらのグラスのマークが6種類ぐらい書いてあって。そこにそれぞれ小さい文字でお酒の名前が書いてある。……ようだ。

 

 

私はもう迷う余裕もなく、その中のナントカbeerというのを適当に選んだ。

 

 

 

 

 

 

そこから席に戻って、しばらく待つとお酒と料理が運ばれてきた。

 

 

濃い色をした瓶のお酒二つと、私はチキンとサラダとマッシュポテト、

 

ハルカはチキンとサラダとポテトフライだった。

 

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「あーハルカが注文してた『チップス』とポテトの事だったのか…」

 

 

マッシュポテトだって、美味しいから良いよ、別に。

 

 

私はもっきゅもっきゅ山盛りのマッシュポテトを頬張った。

 

 

私たちは沢山話した。

 

 

ハルカがめちゃめちゃ頭いい大学で、しかも運動部のマネージャーをしている、という話、彼氏はその部のマッチョな男子だって話、

 

 

私はチキンをむしゃむしゃ、マッシュポテトをむしゃむしゃ、

 

 

「ビールが美味しいなんて初めて思ったなあ」

 

 

とか考えながら、聞いていた。

 

 

それは旅先のテンションなのか、お酒が入ったからか、同じ日本人だからか、

それとも、ちょっとだけ頑張る気持ちがあったのか、

 

 

とにかくその夜は、一気にお互いの事を喋り倒して帰った。

 

 

「私、ルームメイトの子と外でご飯食べたの初めてだったから、嬉しいなー」

 

 

それを聞いて、私もちょっと嬉しくなった。

 

 

 

 

部屋に着いた時、私は向かいのベッド、上段の子に話しかけた。

 

 

「そういえば、今日、やまいぬの他にも新しく入ってきた子がいたよー。

 

 

その子、けっこう英語できるみたいだし、明日一緒に学校行けばいいんじゃない?」

 

 

その子はすでにその時、ベッドでゴロゴロしていて、邪魔するのが申し訳なかったけど、頑張って、明日一緒に行かないか誘ってみた。

 

 

上手く喋れなかったから、ハルカも一緒に喋ってくれた。

 

 

すると、どうやらその子は、同じ語学学校のニューヨーク校についこの間まで通っていたらしくて、その時の友達がこちらにもいるという。

 

 

明日はその子と朝ごはんを食べてから一緒に行くんだと。

 

 

その会話で私はその二人が、どこで朝食を食べるのか、とか、私はお邪魔じゃないか、とか頭の中がぐるぐるしたけど、

 

 

そんな事言ってる場合じゃない。

 

 

私はとにかく朝の7:30に二人と一緒に学校へ行く(連れてってもらう)

という約束をした。

 

 

不安だったけど、その子は私よりも年下で、明るい話しやすい子で、

とにかく明日の初登校がなんたかなりそうで、ホッとした。

 

 

ネボスケの私は、明日こそは絶対に遅刻しちゃいけない、と強く思って、

その日はシャワーを浴びて、さっさとベッドに潜った。

 

 

実際、くたくただったし。

 

 

でも、これが油断だった。

 

 

せめて最低限の荷物ぐらいは整理しておけば良かった。

 

 

整理して、ちゃんと明日の支度をすれば良かった。

 

 

慣れた大学の1限にひょいと行くのとはワケが違う。

 

 

なのに私は嬉しくて、ほっとして、完全に油断した。

 

 

これが後々、地獄の引き金になる。フラグ、というやつだ。

 

 

そんな事になろうとはつゆ知らず、私はすぐに寝てしまい、

朝はこの寝坊魔の私にしては、7:00にはちゃんと起きた。

 

 

と言っても。出発まで30分しかない。

 

 

いつもの倍速で朝の支度をした。

 

 

女の子はすでに起きていて、聞くと、どうやら朝ごはんはやめたらしい。

 

 

だから、そのまま7:30になったら、まっすぐ学校に行く、と。

 

 

私は支度している時、頭の中は「迷惑かけちゃいけない、急げ急げ」だったので、色々なものをバッグに入れるのを忘れた。

 

 

学生寮から最寄り駅までの地図

(かさばるし、昨日連れてってもらったから分かるだろう、と調子乗った)

 

折り畳み傘(まだスーツケースから出してなかった)

 

ポータブルWi-Fi(部屋の充電器にさしたまま置いてきた)

 

 

あーあ。愚かなる初日の私よ。覚悟しとけよ。

 

 

そこから、ぎりぎり支度が終わって、外にでると、

黒のタイトなワンピースを着た金髪の女の子が立っていた。

 

 

ルームメイトの子はフレンドリーな子だったけど、その子は、なんとなく話しかけづらかった。

 

 

挨拶もそこそこに私たちは歩き出した。

 

 

前に二人、その後ろに私。

 

 

二人が喋っている間、私は黙って街の景色とかひたすら見てた。

 

 

街の景色と、二つ並ぶストレートとカールの金髪を見ていた。

 

 

駅に着いて、オイスターカードという、日本で言うスイカやPASMOを手伝ってもらいながら買った。

 

 

黒ワンピースの子が機械の操作を手伝ってくれたんだけど、私の操作や下手な英語でもたもたして、申し訳ないなぁと思ってたら、なんと、後ろのお兄さんに舌打ちされて、小声で何か言われた。

 

 

うううう。

 

 

ホームで電車を待っている間、私は何とか話に入ろうとして、

さっき後ろのお兄さんが怖かった事を話すと、

 

 

ルームメイトの子が「えー最悪だね~」と返してくれたけど、それで終わってしまって、

 

 

どうしようどうしようと慌てて、貼ってあったゼルダの伝説のポスターを指さして、

 

 

「このゲーム知ってる? Nintendoって日本の会社なんだよ」

 

 

って言ったら、黒ワンピの子がボソリと

 

 

「私、ゲーム全然やらないから分からない」

 

 

と言われて、あっという間に、会話が終わってしまったし、

 

 

私もしょげてしまった。

 

 

電車の中は混んでいて、けっこう、揺れる。

 

 

混んでるから3人、顔を合わせるように立ったんだけど、

 

 

やっぱり二人が喋って、私は聞き取れないから、入れない。

 

 

多分、表情とかから「電車、まじ揺れるね」とか言ってるんだろうと思って、

 

 

それっぽい顔で小さくうなづいておいた。一応。その場にいる人として。

 

 

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学校を見た時、驚いた。

 

 

もっと、学校学校してるかと思ってたら、そこは手押しの門をくぐると、

 

 

石造りの中庭と建物があった。

 

 

中庭には、卓球台やら、ビリヤード台、ボードサッカーの台とかが置いてあった。

 

 

中に入って、カフェテリアに行くと、

 

 

いきなり騒がしい日本語が耳に入ってきた。

 

 

どうやら新入生は皆、まずはこのカフェテリア待機のようで、

その中の一番大きなグループが日本人の女の子たちだった。

 

 

大きな声で興奮しながら、もの凄い喋っている。

 

 

「やだなぁ」とこっそり思いながら、

 

 

私は二人の後について、レジで軽食を買った。

 

 

私はスーパーフルーツカップというのを頼んだ。

 

 

カップの中にブルーベリーとかメロンとかイチゴやらが入っているやつ。

 

 

フォークでつっつきながら、振り返ると、私の席は無かった。

 

 

二人は、さらに他の友達とすでに盛り上がって座っていた。

 

 

どうしたものかと思っていたら、ルームメイトの子が、気を聞かせて、

 

 

「あそこの空いてる席、こっちに持ってきちゃいなよ」

 

 

と言ってくれた。

 

 

居場所を確保したものの、やっぱり話には入れなくて、

 

 

私はフルーツカップを丁寧に食べた。

 

 

ちょっとすまして、ブルーベリーとか食べた。

 

 

こなれた感じなんか出しながら。

 

 

そんなの誰も見ちゃいなかっただろうけど。

 

 

そして、私が最後のオレンジを食べ終った時、ついに先生に呼ばれた。

 

 

「では、皆さん。イントロダクションを始めるので移動してください」

 

 

ロンドン2日目。月曜日。語学学校、初日がこうして始まったのでした。

 

 






 

今日は、ここまで。

 

 

続きは、また今度。

 

 

やまいぬでしたʕ ・(エ)・ʔ

 

 

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会いたい と 会いたくない の挟間で迷子

会いに来て 会いに行く

まぁ そうは言っても会えませんから

私は明日も頑張って生きるよ

 

ロンドンで王子様に会いました#1

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「ロンドンで彼氏作って、日本に帰ろう」

 

それが当初の私の留学に対する最大の野望だった。

 

勉学のためとか。学生のうちにできる貴重な文化的体験をしようとか。人生観を変えたいとか何とか言いながら、心の中ではずっと大志を抱いていた。

 

「彼氏を作りたいぞ」と。

 

さすがに今度こそ、作りたいぞと。

 

いや、ほんまに。

 

語学学校で出会った「日本人」の中で一番、素敵な人を彼氏にしたい、してやろうと本気で考えていた。煩悩ここに極まれりである。

 

受験時代は第一志望に受かりたいけど、勉強は嫌だというアンビバレントな状況下で、一瞬、スピリチュアルにハマった私である。

 

本番一か月前は赤本をやらずに、「無事、受かりました。神様ありがとうございます」と教本に則り、「未来完了形」で3回づつ毎晩、念を込めて書いていた。

 

赤本やらなかったせいで入試本番、全くやったことない問題を前に為す術も無く、周りの受験生ににらまれつつ、大泣きしながら途中退席するはめになった。

 

何が言いたいかと言うと、私の留学(彼氏)に対するソレは、受験時の第一志望にたいするソレに匹敵するものがあった。

 

むしろ受験なんかせいぜい1.2年の話だが、彼氏に関しては20年という積年の思いがあり、事態はより深刻だ。

 

私は執念にも似た宿命を背負って、6週間の語学留学に臨んだわけである。

 

ちなみに、この時点で「外国人」の彼氏は全く考えていなかった。友達に散々、けしかけられたが、いまいちピンとこず。


あまりに現実味がなくて、妄想だってできやしない。


だって、私はピコ太郎のペンパイナッポーの発音の悪さを笑えない。

 

しかも、「日本人」じゃなきゃ連れて帰れないじゃないか、とか捕らぬ狸ウンヌンよろしく、ろくに支度もせずに出発当日を迎えた。

 

文字通り、ろくに支度をしなかった。私は自分のスーツケースに何が入っているのか、まともに把握してもいなかった。

 

何故なら、生活能力ゼロで態度だけはデカく「なんとかなるでしょ」精神のズボラな娘の初留学を心配して、心配して、心配した母上が、スーツケースの中身から、保険加入から、パスポートまで、本人がサークルの活動にうつつを抜かしている間に、全てやって下さった。

 

我ながらダメ娘で、書いていて、しんどい。

成人式も終えた人間が、このザマである。

 

知らない内にどんどん重量を増していくスーツケースと、まるで危機感のない娘にイライラを募らせる母と、顔を見合わせる度に「常識問題」をぶつけて答えられない世間知らずな娘に「お前こんな事も知らずに留学行くのか」と呆れるに、私は私で、何もしない分際でストレスフルに過ごしていた。

 

当日の朝、母にせっつかれて投げやりに決めた、対して好きでもない防寒対策万全のジャンパーにうずもって、私は超重量級のスーツケースをうんざりしながら不機嫌に引き引き、両親と成田に向かった。

 

スーツケースの中のやたらかさ張る「問い合わせたら、それは必要ないと日本人スタッフに言われたけれど、一応念のために持って行って、やっぱり必要なかったらルームメイトの皆さんにプレゼントしても良い、学生寮の館長さんと語学学校の校長先生への菓子折り」を山手線に揺られながら、ずっと呪っていた。

 

何だか全然、楽しくなくて、ずっとふてくされていた。

 

やっと空港に着いて、ついにここからは見送りの方は入れませんというエリアに来たとき、突然、母が泣き出した。

 

「ロンドンなんか大都市で何でも現地で手に入るし、英語も英会話教室でネイティブの先生と喋ってるし、iPhoneで何でも調べられるし、困ったら友達に助けてもらえば良いし、たったの6週間、何とかなるだろ」とタカをくくっていた私は思いもよらない母の涙に、そりゃあたまげた。

 

気まずさと恥ずかしさと後ろめたさに申し訳なさで、そそくさとゲートをくぐってしまった。「親の心子知らず」なんて、ありきたりな文句が、そっくり当てはまってしまう。本当に本当に私は、嫌になるほど自分本意なガキンチョだ。

 

飛行機に乗ってからも、たいした感慨もなく、殺風景でだだっ広い一面アスファルトの離陸場を横目に、早速、映画を選び始めた。

 

この時、観たのは「マイ・インターン」と「恋妻家宮本」、「ブリジットジョーンズの手紙」

ファッショナブルで格好いい「働く女」のアンハサウェイにうっとりして、阿部寛天海祐希が冴えない中年カップルの設定は無理があるだろとツッコミつつ、なんだかんだで最後はワンワン泣いた。それから眠い目をこすりつつ、グラスの赤ワインをガブ飲みしながら、鈍くさいブリジットを笑った。

 

「ばっかだなぁ」。失敗ばかりする主人公をほろ酔いで笑った私は、「なんでもっと上手に生きないのだろう。考えれば分かるじゃないか」とさえ思った。

 

この時の私はまだ知る由もない。後に、自分が異国の地ロンドンで、これでもかというぐらい泣きを見ることを。後先考えずに、突っ走って痛い目に沢山あう。その度に「彼女」を苦い気持ちで思い出すのだ。「なんてこった」と。

 

でも、良かった。苦い気持ちになりながら、ちょっと面白いと思う自分もいた。「大丈夫。帰ったら皆に笑って話そう。これは過ぎればコメディーだ」

 

だから、私は今、こうして下手くそな文章で何とか書いている。

日本語なら、英語より、幾分、マシなはずだ。

 

そうして、12時間の長旅を終え、ついにヒースロー空港に到着した。

 

なんだここは。

ガラガラじゃないか。地下の長い無機質な通路は、しんとして、私の不安を駆り立てた。

 

ぼやぼやして、トイレに向かったりしてたら、どうしたもんだ、本当に周りに人がいなくなってしまった。

 

ここに来て、初めて悟る。

 

「あ、私、ひとりだ」

 

どこまでも続いて行きそうな窓もない真っ白な地下通路。

 

そこには私と能天気に赤い大きなスーツケースだけだった。

 

放り出されて気づく恐れ知らずの自分は、ただただ何も知らないちっぽけな私だった。

 

宇宙空間に浮かぶ人工衛星を思いながら、トボトボ歩いて、やっとこパスポートの列を見つけた。

 

な、ながい。

 

しかもそれぞれの列に何か種類がありそうだ。

 

わたしは……どこに並べばいいのだろう……?

 

オロオロしていたら、同年代の女子の「日本語」が耳に入ってきた。

 

振り返ると、二人組の女子大生が「えーどこだろわかんないねー」と小声できゃっきゃしていた。私はコソコソその二人の後をついていった。

 

なんだかチラチラ見られている気がする。

 

不審がられている気がする。

 

私は何で一人で来ちゃったんだろう。

 

右に左に曲がる誘導ロープを挙動不審に進んでいった。

 

自分が並んでいる列が果たして正しいのかも分からないまま心細く順番を待つ私は、それでも無理矢理、勇気を出して、まずは最初の関門、入国審査を颯爽とクリアしてやろうと思った。

 

記念すべきロンドン最初の英会話だ。ここはばっちり決めたいものだ。

 

やっと順番が回ってきて、私は晴れやかに言った。‘Hi!

 

その時の審査のオジサンが、私には地獄の門番か何かに見えた。

 

私の精一杯の「ハイ!」はあっけなく黙殺され、むすっとした黒のおっきなオジサンを前に私は震え上がった。日本史でやった「入り鉄砲と出女」の文字が頭をかすめて変な汗が出た。

 

オジサンはジロリと私の顔を一瞥し、やっぱり怖い声でぶつぶつと何かを言った。

 

ポカンとする私にオジサンは呆れた様子で(私にはそう見えた)「ナンニチタイザイスルノデスカ」と日本語でもう一度聞いた。

 

この時、あまりにも緊張して正確に何て言われたのか覚えてないけど、確かそんな事を聞かれて、真っ赤になりながら答えた気がする。

 

私よりもずっと晴れやかに笑うポスターのお姉さんと“welcomeの文字を仰ぎながら、無事、入国を済ませた。

 

ここから、今度は学生寮まで連れて行ってくれるらしいタクシーを見つけなければいけない。今度こそ、スムーズにクリアしたい。

 

出口を抜けると、そこにはズラリとプラカードを持つ待ち合わせの人たちがいて、端っこの方に、見つけた。“Yamainuとペンで書かれたカードを気だるげに持つ黒人のオジサンを。

 

とてもじゃないが“Welcome!”という顔はしていなかった。多分、私が到着するのは、手間取ったせいで予定より、大幅に遅れていただろうし。

 

何はともあれ、気を取り直してオジサンに近づいた。

 

「君がやまいぬかい?」と聞く声が、さっきのパスポートのオジサンより優しくて安心した。

 

そこからオジサンの後をついていき、地下の駐車場に向かった。

 

そこには、黒くてでっかいピカピカのクルマがドーンとあって、これに乗るのか…と思わず萎縮する私をよそに、オジサンが私の重量級のスーツケースをトランクに担ぎ上げた。

 

その様子はさながら、私の赤いスーツケースが飲み込まれるようで、ドキドキした。

 

大変なのは、ここからだった。

 

やっぱりピカピカの車内にこわごわ乗り込んで助手席に座った私は、果敢に話しかけた。

 

大丈夫だ。私は英会話教室に通っているんだから。臆する事は無いはずだ。

 

とんでもねぇ。

 

私はここで思い知る。

 

英会話の先生たちは、普段からへたくそな英語を喋る日本人を毎日、相手にして、そもそも自分たちも日本語ペラペラの人が多いし、話す時も、至極丁寧に話してくれていたらしい。

 

というのも、運転手のオジサンの英語が聞き取れないったら、ありゃしなかったからだ。

 

低くて、速くて、くぐもっている。

 

それでも狭い車内で沈黙は耐えられない。

 

私は聞こえないもんだから、ひたすら自分が話題を振らなきゃならなかった。

 

オジサンが何か言って、私が理解できなくて、オジサンが翻訳機で見せてくれるも、その日本語は怪文書のようで訳が分からない。一生懸命に解読して、答えて見せると、どうやら的外れな事を言ったようで、今度は画像を見せてくれる。

 

そこには水着のお姉さんが写っていて、ますます頭がこんがらがる。

 

どうやらこの建物で行われるパーティ―は男も女も水着で参加するんだ、やばいだろとか何とか言ってるようで、「それはさぞや寒いでしょう」と答えたら、笑われた。

 

と、今度は話題が変わったらしくて、ところどころ聞き取った内容は、彼氏なんか簡単にできるさ、ベッドに行けば、あっという間だと(多分)言われて、それは3分クッキングで最初から出来上がりのハンバーグ出すくらい、順序飛ばしすぎじゃないか、とか思ってたら、

 

「酒は好きかい」と聞かれて、勢いで「ハイ大好きです!」と答えたら、オジサンがその日一番の上機嫌で「そうか。じゃあ、今度連れてってやるよ」という話になり、

 

あれよあれよという間に、電話番号を交換する羽目になった。

 

「酒が飲みたくなったら、いつでも電話してくれよな!」

 

寮に到着して、最初と打って変って、ハキハキと手を振って見送ってくれたオジサンに、私から電話することは、ついに一度も無かったけれど。

 

しかも、ロンドンでは、ずっと機内モードにしてたから、オジサンから電話がかかってきたかどうかも分かりやしない。

 

後で気づいたのだけど、私はこの運転手のオジサンを、語学学校か学生寮の関係者だと思っていたのだけれど、どうやら、全く関係ないオジサンだったらしい。知ったこっちゃない。

 

うすぼんやりと思い描いていた学生寮は、どどんとそびえる、アパート然とした建物の前で霧散した。建物の名前も「タワー」だったし。

 

中では、ちゃきちゃきとした眼鏡のお姉さんが迎えてくれた。

 

挨拶もそこそこに部屋に通され、一通りの説明を受ける。

 

部屋の清掃は毎週何曜と何曜で、WiFiのパスワードはこれで、鍵はこれで、なんちゃらかんちゃら、これが最寄り駅までの地図で、乗り換えはこうでこうで、そこから学校まではこうだから、じゃあ、早速明日、朝8:00に学校行ってね。何か質問はある?

 

え。

 

え、え、ちょっと待って。

 

 

「私、一人で行くんですか……?」

 

私はこの時、自分史上一番まぬけな声を出したと思う。

 

「ええ。勿論、あなた一人で行くのよ」

 

Why not?とお姉さんの顔に書いてある。

 

いきなり難易度ぶち上がり過ぎやしないか……??

 

自慢じゃないが、私は筋金入りの方向音痴である。

 

受験時代、模試会場に行くのにもれなく迷って、まともに間に合った事がない。あれだけ何度も遅刻すると、試験の途中入室も手慣れたものだ。どんな受験生だ。

 

私は真っ青になって、お姉さんにもう一度、最寄り駅と学校の行き方を教えてもらった。

 

お姉さんは新しい地図を用意してくれて、説明してくれたけど、

 

「いい?○○駅を使うならこの道で、△△駅使うならこの道で、バス使うならここで、徒歩で行くならこうよ。分かった?」

 

分からない!!!!

 

いや、分かるけど、分からない!!!

 

この私が!!大学から徒歩10分の居酒屋でさえ、大3になってやっと道覚えて迷わなくなった!!この私が!!

 

そんなお手軽な説明で!!分かると思うなよ!!!

 

地図が人並みに読めると思うな!!!うわあああん!!!

 

頭の中はパニック状態だったけど、「大丈夫、です……」と言ってしまった。

 

これだから日本人は!違う、それ以前の私の理解力!!

 

そしてお姉さんは去って行った。

 

私がこれから6週間暮らす事になった部屋には二段ベッドが二つ並んでいて、私は上のベッドを使うことになった。

 

日曜の夕方、という事で、まだ誰も帰っていなかった。

 

私はギシギシ、アルミのはしごをのぼってベッドにごろんと転がってみた。

 

私は目の前の天井を見ながら途方に暮れた。

 

「とんでもないことになったなぁ……」

 

「友達、できるんだろうか……」

 

「うう……」

 

「あ。」

 

思い出した。そういや、さっき、お姉さんが言っていた。

 

「ちなみにこの部屋には、日本人がもう一人いるわよ」

 

日本にいた時は「日本人とはつるまないぞ」と強気だったとか、あれ、同じ国出身の人は同室にならないって聞いてたのにな、とか一瞬、過ったけど、

 

この際、そんなこたあ、どうでもいい。

 

私はおもむろにベッドから這い出して、窓際に並ぶスーツケースの名札を恐る恐る確認した。

 

すると、一番端のスーツケースにHarukaの名札があった。

 

ハルカ……

 

私はハルカの帰りを待ちわびた。

 

私の運命はこのハルカに懸かっているのだから。

 

もうすでにハルカは私の中でマブダチになっていた。……半分くらい。

 

それからしばらく、苦手な地図と再び格闘したり、wi-fiのパスワードが分らなくて、小さい声で叫んだりしてたら、

 

来た。

 

待ち人ハルカ!!!!

 

おかえり!!!

 

初めましてこんにちはやまいぬと申します!!!!

 

心ははやるも、ビビって動けない。

 

身を潜めていると、どうやら、ハルカじゃないらしい。

 

帰ってきたのは、他のルームメイト達だったらしく、

 

彼女たちは英語じゃない(そう、英語じゃない!!!)言葉で何か楽しく喋りながら、

そのままキッチンで料理を始めてしまった。

 

やばい。これはやばい。

 

私はぶるぶる震えながら、スーツケースから、あるモノを取り出した。

 

そう。「お土産」である。

 

どどーん。

 

私は日本で「友達」に配るように抹茶チョコレートと抹茶ポッキーを用意していた。

 

いざ。

 

友達を!!!作らん!!!

 

そろそろ廊下を歩いて、リビングに行くと、とんでもないモノが目に入った。

 

「うそだ…」

 

テーブルに抹茶ポッキーがすでに置いてあった。

 

ハルカに先を越された!!!!

 

ハルカと被った!!!!

 

うわあああん!!!!!

 

でも、もうためらってる場合じゃない。

 

私はキッチンに並ぶ背中に声をかけた。

 

「ハ、ハロー」

 

あ、あれ……??

 

もう、この時の悲しい気持ちったら、ありゃしなかった。

 

私が思い描いていたルームメイトってのは、何ていうか、明るくて、フレンドリ―で、

 

こう、きゃっきゃワイワイするものだと思ってたのに、

 

何ていうか、冷めている……

 

「私やまいぬって言うの!あなたは!?」

 

「私はジェシーよ!よろしくねやまいぬ!!!」

 

「うふふ私たち気が合いそうね!!!」

 

とかじゃ、ない。

 

「あ……やまいぬって言うの」

 

「私、ジェシー

 

「日本から来たの、へぇ」

 

「私はフランス人よ。うん。よろしく」

 

「ああああああああの!!!!」

 

私はこの、あまりによそよそしくカタい空気を打破すべく、

懐から例のアレを取り出した。

 

抹茶ポッキー!!!!チョコレートも!!あるよ!!!

 

さぁ、どちらがお好み!!!??

 

「……」

 

あれ?

 

二人とも黙ってしまった。

 

明らかに、何ていうか、Yes,please!!の空気じゃない。

 

「……あ、じゃあ、チョコもらうわね」

 

「……あ、私は大丈夫。ええ、大丈夫よ」

 

なんと、一人には断られてしまった。

 

それ以上、会話を続けることもできず、私は部屋に引っ込んでしまった。

 

私の英語、そんなにだめだったのだろうか。

 

テンパって、一人だけ空回りしてしまった。

 

こんなはずじゃなかったのに。

 

この後、リトライすべく、wi-fiと地図を持って質問も兼ねてもう一度二人に話しかけたけど、結果は同じ。全く盛り上がれない。仲良くなれない。

 

どうにも、うまくいかない。

 

部屋ですっかりしょげかえっていると、部屋に誰か入ってきた。

 

それは……

 

「こんにちは……?」

 

「こんにちは…?」

 

「日本人?」

 

「うん。日本人」

 

待ちに待ったハルカだった。

 

 

 

 

 

 

 

今日は日本出発〜ロンドン初日のお話でした。

 

 

続きは、また今度。

 

 

やまいぬでした🐻🐻



 

 🐾🐾🐾🐾🐾🐾



 

私は写真が嫌いです

嫌いでした 今までは

沢山撮った写真を眺め 

あなたにどこから話しましょうか

 

ミズゴローとデートしてきた。

 

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ミズゴローとデートしてきた話がしたい。

 

 

 

 

 

ミズゴロー君は、同じ学科で、お笑い研究会とポケモンサークルに入ってて、

 

 

 


新歓期間にずっとミズゴローの恰好をして歩いてたらしいから、

 


ミズゴロー君。

 

 

 


ミズゴロー君はチビである。

 

 

 

 


身長156でヒールはいた私より小さい。

 

 

 

 


ミズゴロー君はハゲである。

 

 

 

 


第一印象は「額が広い薄毛の人」である。

 

 

 


ミズゴロー君はけっしてイケメンではないけど、

 


やたら話が面白い。

 

 

 

 

同じ詩歌創作授業で、


なんか毒気の強い面白変な詩を書く人だなぁと思ってた。

 

 

 

 

んで、1月1日の正月、夜、

 


じーちゃん家で暇してた時にたまたまミズゴロー君を思い出して、

 

 

 

 

「ミズゴロー君とごはん行きたいです」ってLINEしたら、

 

 

 

 


送って3秒ぐらいで、

 

 

 


「人違いですが、ごはんは行きましょう」って返事が来た。

 

 

 

 

でも、お互いテスト期間やら何やらで忙しくて、

 

ごはんは実現せずに話は流れたかのように思われた。

 

 

 

 


今更流れた話を蒸し返すのは面倒だし、

 

あっちはもしかしたら2人よりも大勢が好きかもしれないし、

 

だとしたら日程調整が面倒だ。

 

 

 

 


したら、だ。

 

 

 

 

2月に入ったら、ミズゴロー君からLINEが来た。

 

 

 

 


「テストは終わりましたかな。ごはんでも」

 

 

 

 

アガったよ、やまいぬは。

 

 

 


だって、いつも誘うばかりで、

 

初めて男性からゴハン誘われたんだもの。

 

 

 

 

そっから、まだ寒いけど、気合の春物ワンピ―スを買いましたさ。

 

 

 


ライトグリーンのワンピース。胸に大きなリボンがついてるやつ。

 

 

 

 

試着したら、アパレル店員さんが

 

「お客様、すごく可愛いですよ~~」

 


「今度のデートに着ていきたいんです!!」

 

 

「え〜〜これで会ったら、絶対男の子、嬉しいですよ〜〜!!」

 

 

 

 

って、言われて、買っちゃったよ。

 

 

 

 

 

 

ちゃんと髪巻き巻きして、デート行きましたとも。

 

 

 


そういや、ミズゴロー君は、いつも変な恰好をしている。

 

 

 

クリスマスにひらかれた私の劇には、

 

小さいサンタの恰好で来た。

 

 

 

「Ho! Ho! Ho! 頑張った君にはこの栄養ドリンク詰め合わせをあげよう

 

 

 

リポビタンDオロナミンC、各種揃っているよ!!」

 

 

 


この前の授業では、小さいアライグマの恰好をしていた。

 

 

 

アライグマのパーカー。

 

 

 

 

得意げな顔で、

 

 

 

 


「見てください! これ、フード被ったら、上までチャック上がるんです!」

 

 

 


小さいおっさん顔した成人男性がアライグマの中でもごもご喋ってた。

 

 

 

 

その前は、南極探検隊みたいな

 

デカい毛皮の帽子かぶってた。

 

 

 

 

そのままアラスカとか行けそうなやつ。

 

 

 

 

私との1回目のデートには、比較的マトモな恰好してたけど、

 

 

 

緑のチェックのポンチョ羽織ってて、

 

 

 

「今日のテーマは?」って聞いたら、

 

 

 


「今日はハリーポッターです! おすすめの魔法使いの帽子あったら、


教えてください! なかなか見当たらないので!!」

 

 

 


って、言われた。

 

 

 


「気持ち悪いなぁ、君は」って言ったら、

 

 

 

 


すごく気持ち悪い笑い方してくれて、すごく気持ち悪かった。

 

 

 


なんで女物の手袋してるのって聞いたら、

 

 

 

 

「これは、レジで、さも彼女用かのような笑顔で買って、

 

 

 


後日、訳ありげな悲しい顔して、手袋を自分でつけて行って、

 

 

 


店員さんに僕と架空の恋人のドラマを想像させる遊びをしているんです」

 

 

 

って、言ってて、やっぱり気持ち悪かった。

 

 

 


ちなみに別の日にアパレルバイトしてる友達に聞いたら、

 

 

 


「そもそも忙しくて、客の顔なんか、いちいち覚えてないし、

 

 


覚えてたとしても、『あーそういう趣味の人なんだな』としか思わないよ」

 

 

 


って言ってた。

 

 

 


その話をミズゴロー君にしたら、

 

 

 

「僕、この遊び大好きで女性物の小物を2万円くらい買っちゃいましたよ」

 

 

 

って、気持ち悪いこと悲しい顔で言ってた。

 

 

 

「気持ち悪いね!」って言うと、

 

 

 

「げへへへへ」って、さらに気持ち悪い笑い方してくれるんだけど、

 

 

 

「見てみて、あのマネキン小さいよ!

 

 


ミズ君の友達じゃん!

 

 

 


でも、サイズ感一緒なのに、あっちの方が可愛いね!!!!」

 

 


みたいな事たくさん言ったら、

 

 

 

「今度それ言ったら、僕と一緒にプリキュアのコンサート、

 

 

最前列に連れて行きますよ?」

 

 

 


って、言われた。怖い怖い。

 

 

 


ちなみにプリキュアは姪っ子と話合わせるために

 

 


一生懸命、観てたら、

 

 

 

姪っ子ちゃんは、すぐに飽きて、

 

 

 

ミズ君だけ、めっちゃ詳しくなっちゃったらしい。

 

 

 


ミズ君は気持ち悪い人だ。

 

 


というか、本人が気持ち悪い人ごっこを楽しんでいる。

 

 


どこまでが素で、どこからがゴッコなのか、いまいち分からない。

 

 

特技は、人の誕生日を聞いたら、それに関連する情報を

 

 


ずらずら早口で気持ち悪く羅列することだって言ってた。

 

 


その人の星座、誕生石、誕生花、誕生魚に、誕生寿司、あと動物?

 

 

 

ちなみにミズ君の誕生魚は「ウナギ」で、特徴は「つかみどころがない」ところらしい。

 

 


あと、誕生寿司は「ホタルイカ」って言ってた。

 

 


ホタルイカの寿司なんて、初めて聞いたよ。

 

 


そういや、1回目のデートで、会った時、

 

 

 

「どこ行きたい?」って聞いたら、

 

 

 


「スイーツパラダイスというものに行きたいです」

 

 

 


って、目きらきらさせて言われた。

 

 

 

何で?って聞いたら、

 

 

 

 

「だって、スイーツのパラダイスですよ! 天国じゃないですか!」

 

 

 


って、言われた。

 

 

 


鹿児島出身の彼は、スイパラに並々ならぬ憧れを抱いてるんだけど、

 

 

 


男一人で行く勇気は無いという。

 

 

 

 

町中をアライグマで歩くくせによく分からないやつだ。

 

 

 

 

ちっちゃい薄毛のオッサン顔した青年が、それはそれは嬉しそうに

 

 

イチゴのミルクレープを頬張っていて、やっぱり気持ち悪かった。

 

 

 


ミズ君は三次元の女の子には興味あるの?って聞いたら、

 

 

 


「無いって言うと、婚期逃しそうなので、一応あるって言ってます」とな。

 

 

 


でも、後日、友人に聞いたら、

 

 

 

「女子大生はチョロいよ~(笑)」ってのを誰かが言ったら、

 

 

 

「女子大生はチョロいんですか、それは良いこと聞いたなぁ」

 

 

 

 

って、ミズ君、ウキウキしてたらしいから、よく分からない。

 

 

 

 

ミズ君に「何でそんな気持ち悪い笑い方するの」って聞いたら、

 

 

 

 

 

 

 

上京する前に都会っ子の笑い方を研究した成果らしいんだけど、

 

 

 

 

 

 

 

どう考えても、その笑い方は秋葉原とかのごく一部の限られた都会の笑い方だ。

 

 

 

 

 

 

 

で、この前、「甘いもの大好きなミズゴロー君にチョコあげるよ」

 

 

 


ってLINEしたら、

 

 

 


「人違いですけど、チョコ欲しいです。ごはん行きましょう」

 

 

 


って、やっぱり3秒で返事が来た。

 

 

 


で、今日、彼と2回目のデートしてきたんだけど、

 

 

 

「ごめんね、ミズゴロー君。15分遅刻する」

 

 

 

ってLINEしたら、ちょっと間が空いてから、

 

 

 

 


「分かったミズ―」って返事がきた。

 

 

 


どうやら、観念したらしい。

 

 

 


今日はミズ君、黒のトレンチコートを着てきた。

 

 

 


女物の黒い手袋もしてたけど。

 

 

 

 

いつものアライグマやら、サンタに比べれば、

 

 

 

 

よっぽどマトモだったから、

 

 

 


これは、デート用に一応のお洒落してきてくれたのかな

 

 

 

 

って思ったら、ちょっと面白かった。

 

 

 

 

黒のトレンチと手袋した、チビハゲメガネのお喋りミズゴロー君。

 

 

 

 

私は白のニットワンピース着てった。

白いお花のバレッタもおまけに。

 

 

 

 

 

何度も「ちっちゃいね!」って言って、ごめんね。

 

 

 


ちゃんと気を使って、ハゲには触れなかったよ。

 

 

 


プリキュアには連れて行かないでほしいな。

 

 

 


ミズ君にゴディバのチョコあげたら、

 

 


ちっちゃいバッグから、

 

 

 

「あ、じゃあこれお返しです」

 

 

 

って、ロイズの生チョコくれた。

 

 

 


女子力高いな、ミズ君。

 

 

 


でも、その日のデート中、ミズ君、ずっとゴキゲンで

 

 

 


ゴディバの小さい紙袋、手に持ってたから、喜んでくれたんじゃないだろうか。

 

 

 


なんでしまわないの?って聞いたら、

 

 

 

東京の人に自慢したいんです、ってニコニコ言ってた。

 

 

 

「つかみどころのない」ミズ君だから、どこまで本気か分からないけど。

 

 

 


この前、お笑い研究会の男どもで集まって、近くの公民館の台所貸切って、

 

 

自分たちで自分たちのためのチョコ作って完食したって言ってたし。

 

 

 


まあ、プリキュアゴディバくれないしね。

 

 

 

いやぁ、楽しそうな人生を送っているようで、何よりだ。

 

 

 


私も人生楽しいさ。

 

 

 

 

いつか、ミズ君のお笑いライブに行きたいなぁ。

 

 

 

 

ロイズおいしかったよ、ありがとう。

 

 

 

 

ちなみに、デートしてる時の私を、少しでも可愛いと思ってくれたなら、

 

 

 

 

すごく面白いなぁ、それは。

 

 

 

 

あはは(´∀`)

 

 

 


今日は「ミズゴローとデートしてきた」という話でした。

 

 

 


続きは、また今度。

 

 

 

やまいぬでしたʕ ・(エ)・ʔ

 

 

 


甘い甘い恋をしましょう
チョコをひとつ君にあげる
代わりに君の愛をちょうだい
甘い甘い愛をひとつ

私はあなたを惚れさせたい

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それは、事件だった。

 

 

 

 

事件、と呼んでもよいであろう出来事。

 

 

 

 


大変だ。






虎雄に話しかけられた。

 

 

 


しかも、なんか、優しかった。

 

 

 

 

 

なんか、私を見る目が、優しかった。

 

 

 

 

それは彼が普段、「可愛い女の子」に向ける、それだった。

 

 

 

 

ええええ。

 

 

 

 

 

ばかにすんな。

 

 

 

 


そんな簡単に、優しい顔するな。

 

 

 

 

 

虎雄っていうのは、

 

 

 

 

大学1年の冬から、2年の夏まで、


私が大好きで大好きで仕方なかった男の子。

 

 

 

 

 

「お前だけは可愛いと思えない」と言った男の子。

 

 

 

 

 

プライドばっかり高くって、不器用なくせに、

 

たまに頑張り屋で、感動屋で、いいやつになる、ずるい男の子。

 

 

 

 

私が、人生で一番、長く恋をしていた男の子。

 

 

 

 


こんなに簡単なのか、と思ってしまった。

 

 

 

 


「可愛い」って、簡単だ。

 

 

 

 

お洒落して、にこにこして、黙ってれば良い。

 

 

 

 

 

ずっと、昔から、ずるいと思ってた。

 

 

 

 

 

「可愛い女の子」がずるいと思ってた。

 

 

 

 


だって、私の方が、頑張ってる。

 

 

 

 


私の方が、「良いやつ」なのに。

 

 

 

 


どうして、あの子たちの方が、皆にちやほやされるんだろう。

 

 

 

 

どうして、私は愛されないんだろう。

 

 

 

 

そんな事ばかりを考えていた。

 

 

 

 


それが、今、こんなに簡単に、「可愛い」と言われる、思われる。

 

 

 

 

この違いは何なんだろう。

 

 

 


Twitterで、ある人に言われた。

 

 

 


「可愛いも美しいも、魂の問題。

 

 

 

 

やまいぬちゃんは可愛い。

 

 

 


それはもう間違いなく、めんこい。

 

 

 

 

だって、魂が可愛いんだもの」

 

 

 


あの頃の私が聞いたら、嬉しくて嬉しくて、大泣きしてしまう。

 

 

 


なんで「可愛い」と思われるのか。

 

 

 


それは、たぶん、「可愛げ」が出てきたから。

 

 

 

それは、たぶん、「魂」が綺麗になったから。

 

 

 


昔より、私は自分を好きになった。

 

 

 


それは、お洒落を覚えたからかもしれない。

 

 

 

楽しいと思える日が増えたからかもしれない。

 

 

 


自分がちゃんと愛されていることに気づいたからかもしれない。

 

 

 

 

色んな女の子に素直に「可愛いね」って言えるようになったからかもしれない。

 

 

 


「可愛い」って人に言ってたら、自分自身も「可愛い」と思えるようになったからかもしれない。

 

 

 

 

愛されたいと思っていた時、ひとは遠ざかって行った。

 

 

 

 

優しくされたいと思っていた時、ひとは冷たかった。

 

 

 

そうだ、私は前よりも、ひとを好きになったのだ。

 

 

 

昔より、私はひとに優しくなった。

 

 

 


ひとの良いところを見るようになった。

 

 


ひとを素直に、愛しいと思うようになった。

 

 

 


気づいたら、変わっていた。

 

 

 


それは、確かな変化。

 

 

 

朝たった15分身だしなみを整えて、お洒落して、ゴキゲンでいれば、

 

きっと、私もあなたも可愛いだろう。

 

 

 

ゴキゲン、が大事。

 

 

 


ルンルンでいること。

 

 

 

失敗しても、反省したら、ちゃんと自分を許してやること。

 

 

 

自分のことを見捨てないこと。

 

 


自分をいじめないこと。

 

 


憎まないこと。

 

 

 


男子も女子も、まずはお洒落してみればいい。

 

 

 

それだけで、自分を、ちょっと好きになる。

 

 

 


それだけで、ちょっとゴキゲンになる。

 

 

 


ニコニコしてれば、素敵なひとだ。

 

 

 

 


そして、皆を「可愛い女の子」と油断させておいて、

 

 

 

 

こっそり、自分だけの武器を磨こう。

 

 

 


ピカピカに磨きあげた剣を、いつか懐から抜き出して、

 

 

 

 

華麗な技を見せつければいい。

 

 

 

 


シュバッ

 

 

 

 


その時、きっと皆が本当に心を奪われるに違いない。

 

 

 

 

なんて、それは楽しいんだろう。

 

 

 

 


「可愛い女の子」のままじゃ、つまらない。

 

 

 

 

魅了したい。

 

 

 

  


せっかく生まれてきたんだからさ。






一度くらい、あなたを、虜にしてみたい。

 

 

 

 


私はあなたを惚れさせたい。






憂いて、嘆いてる暇はない。

 

 

 

 

バイバイ、虎雄。

 

 

 


私は、先に行くからね。

 

 

 

 

あんまり女の子にデレデレしてばっかじゃだめだよ。

 

 

 

 

電柱にぶつかるぞ。

 

 

 

 

今日は「私はあなたを惚れさせたい」というお話でした。

 

 

 

続きは、また今度。

 

 

 

やまいぬでしたʕ ・(エ)・ʔ



 .+*:゚+。.☆

猫も杓子も可愛い可愛い

君の愛は簡単ね
ごめんね女の子は飽きちゃった
馬に跨り 草原走るわ

 

 

 

 

廃墟を求めて三千里してきた

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それは、演出のある一言が、全ての始まりだった。

 

 

 

 

彼女は、言った。

 

 

 


「そうだ、廃墟を撮ろう」

 

 

 

はい?

 

 

 

はいきょ?

 

 

 


何の話かと言いますと、

 

 

つまり、私が所属している演劇サークルで次の劇の演出が、

 

 

「廃墟をバックにチラシを作りたい」と、言いやがりましてね。

 

 

 

もうね、ばかじゃないの、と。

 

 

 

言いたいわけだよ。

 

 

 

やだよ。お化けでるじゃん。

 

 

 

 

好奇心旺盛な中学生じゃあるまいし。

 

 

 

 

なぜ、私が行かにゃならんのよ、と。

 

 

 

 

それは、私がセンビだから。

 

 

 

 


センビ

 

 

 

 

宣美

 

 

 


宣伝美術

 

 

 


そう。映画館行くとよく置いてある、「レイヤー」とか呼ばれる

 

 

 

 

あのチラシ。

 

 

 

 

あれを作らにゃならんの。

 

 

 

 

誰が。

 

 

 


ワシが。

 

 

 


宣伝美術部、と冠してある通り、宣伝にまつわる色んなものを、

 

 

 

 

演出さんの手となり、足となり、作らにゃならんの。

 

 

 


それは、チラシに始まり、当日、各座席に置いてあるパンフレットに、


「もぎる」ためのチケット、DMこと、ご案内ハガキ、立て看板、プラカード、ポスター、


Twitterで流すためのCM動画、道案内動画、エトセトラ。

 

 

 


これを、今回は3人で作るんだと。

 

 

 


ここで、イカれた3人の仲間を紹介するぜ!

 

 

 


チーフ!

 

 


経験そんなに豊富じゃないし、そんなに頼れもしない
我らがリーダー! 遅刻癖が玉に傷! 残単位数は非公開!


最近、めでたくヤンデレメンヘラァーな先輩彼氏と無事別れたと思いきや、


意外とこれが寂しい自分にショックを受けているとか、いないとか。

 

 

 

 

やまいぬ!

 

 

 

 

劇研で数々の騒動を巻き起こしている問題児!


本人は全て武勇伝と信じて疑わない迷惑なやつ!


ついに劇研で彼氏を作ることは、諦めた! 


最近言われてムカついた言葉は「やまいぬって、節操ないよね」!


ちなみに宣美は初部署だ! 

明日が見えない!

 

 

 

 

期待のルーキー! 

 

 

 

 

なぜ独文学科を選んだのか。もはや自分でも分からない。


なぜ2年生の2月に入部してきたのか。


「劇研って、怖そうだから、様子見てたの」


石橋叩いて渡るにも、程があるんじゃないのかbaby!


勿論、経験値0だ! 明日が見えない!!

 

 

 

 

ポンコツチーフと素人二人で、一万五千部のチラシを作るって???

 

 

 

 

ばか言うんじゃないよ!!!!!

 

 

 


はい、解散!!!!

 

 

 

 

 

そうは、問屋がおろさねえ。

 

 

 


鬼演出に首根っこ掴まれて、地獄の窯にくべられる。

 

 

 


この前も怒られたばっかりだってのに。

 

 

 

聞いてよ。





宣美とは別に、制作部というのがある。

 

 

 

宣美が作ったチラシをあっちゃこっちゃで配ったり、


当日のお客様をご案内したり、前説やったり、


「気配り」のプロたちである。

 

 

 


で、この前、制宣会議なるものがあった。

 

 

 


これは、集客アップを図るための両部署で行われる会議なんだけども、

 

 

 

 


死ぬほど、たるいんだな、これが。

 

 

 

 

「チラシいっぱい貼りたいですよねー」

 

「だよねー」

 

「どうしよっかー」

 

「駅とか貼っちゃダメかなー」」

 

「この前、先輩がやろうとして怒られてたー」

 

「そっかー」

 

「お金かかっちゃうんだってー」

 

「そっかー」

 

「すっごい高いんだってー」

 

「どうしよっかー」

 

「あ、差し入れおいてある!」

 

「あ、私、チョコがいいなー」

 

「えーずるーい」

 

 

~1時間経過~

 


演出「よし。一万五千部、刷るぞ」

 

全員「ウィッス」

 

 

 

 

 


ばかじゃないの!!!!!!!!!!!!

 

 

 


ねえ!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 


どうして!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 


怒るよ!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

私は、このブログを始めてからというもの、


それはそれは、楽しく毎日生きている。

 

 

 

 

1月後半なんか、レポート、試験勉強そっちのけで


ブログ執筆とお絵描きに勤しんでた。

 

 

 

おかげで、レポートを前日まで溜め込んで、

 

さぁ、今日明日2日かけてラストスパート頑張るぞー!と

 

レジュメを見たら、実は〆切を一日勘違いしてて、

 

あと3時間で受付終了という恐ろしすぎる事実が発覚し、

 

そこから、鬼神の如きスピードで7000字分のレポートを書き上げ、

 

〆切10分前に駆け込み提出した。

 

出し終わった後、動悸はするわ、冷や汗で脇びちょびちょだわ、


散々だった。

 

 

 

 


それが、何。

 

 

 


この会議という名の茶番劇につき合わされて、

 

 

 

 


私の命の断片である貴重な貴重な時間が

 

 

 


今!!!! 

まさに搾取されてるってばよ!!!!!

 

 

 

結局、計2時間も拘束されたってばよ!!! 

 

 

 

 

レポート書かせてやろうか、おい!!!!!

 

 

 

 

日本語ラップの近未来について3000字書かせてやろうか!!!!!!!

 

 

 


そんなわけで、嘘がつけない私は、申し訳程度に相槌だけ適当に打って、

 

 

 

待ちに待った宣美会議(チラシのデザインを演出さんと決める会議)では、

 

 

 

 

ポンコツチーフ「じゃー始めまーす」

 

やまいぬ「任せて!!!!!」

 

ポンコツチーフ「え、いきなりどしたの」

 

やまいぬ「ここからは全力でサポートするから!!」

 

ポンコツチーフ「え、あ、うん」

 

やまいぬ「ハイ! じゃあ、始めるよ! ちゃきちゃき行きますよ!


では、まず、こちらのホワイトボードをご覧ください!!」

 

鬼演出「おい、やまいぬ」

 

やまいぬ「ハイ!!」

 

鬼演出「ぶち殺すぞ」

 

 

 

 

 

何とか、ぶち殺されずに済んだけど、

 

ものごっつ怒られた。

 

露骨すぎんだろ、と。

 

態度を改めろって、強めに殴られた。

 

痛かった。

 

 

 

 

そして、話は冒頭に戻る。

 

 

 

 

廃墟をバックにした役者の写真を撮りたいんだと。

 

 

 

 

でもって、そこに洒落たフォントで、公演名を入れたいんだと。

 

 

 

 

演出は、嬉しそうに某ルミネのポスターを見せながら、言った。

 

 

 


そこで僕ら3人は、「イイ感じの廃墟」を探す旅に出たのだ。

 

 

 

そんな都合よく「イイ感じの廃墟」があるもんか。

 

 

 


そもそも、廃墟って、撮影許可どうやって、とるんだよ。

 

 

 


されど、ここは「演出の言う事は絶対」がモットーの劇研らしく、

 

 

 


我々は「イイ感じの廃墟」っぽい場所をひたすら写真に収めた。

 

 

 

知ってる?

 

 


今日は、一日、暴風が吹き荒れていたことを。

 

 

 


それは、正気の沙汰ではない。

 

 

 


半日かけて、カメラ片手に、ビュービュー北風吹き荒れる中、

 

公衆トイレやら、汚いビルの裏口やら、古びた消火栓やら、すすけた電話ボックスを

 

文字通り、死に物狂いで撮りまくった。

 

 

 


今日一日で、一生分の「寒い」を言い切ったんじゃないだろうか。

 

 

 

ホームレスのおばさんや、運送のおじさんの横で、仮にも花の女子大生が、

 

一体、何をやっている。

 

 

 


せっかく撮っても、演出に

 

 

「うーん、悪くないけど、もっと恰好よく撮ってほしいな」

 

 


って言われようものなら、

 

またもや吹雪(体感は、それ)の中、再びさすらう羽目になる。

 

 

 

 

大学の裏口に行ったら、舞台美術の後輩女子たちが、これまた3人で、

 

北風をものともせず、果敢に木材を切っていた。

 

 

 


あんまり胸が打たれたから、

 

貼るカイロお徳用と、ホットドリンクと、お菓子を大量に差し入れしといた。

 

 

 

我々の努力の甲斐あって、最高に「イイ感じの廃墟」っぽい写真が、無事に撮れた。

 

 

 


明日は、「イイ感じのフォント」探しの旅に出る。

 

 

 

 

自分なんか、探してる場合じゃない。

 

 

 


皆、風邪はひくなよ。

 

 

 

お腹出して寝ちゃ、だめだよ。

 

 

 


今日は、久しぶりに熊のぬいぐるみと寝てみようか。

 

 

 

良い夢見られる気がするよ。

 

 

 


あなたも、良い夢が見られますように。

 

 

 

Sweet dreams.

 

 

 

 


今日は、「廃墟を求めて三千里してきた」というお話でした。

 

 

 

 


続きは、また今度。

 

 


 

やまいぬでしたʕ ・(エ)・ʔ




✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†+✽――



 

夢で逢えたら 君にキスをしてほしい
きっと夢なら 叶うはず
優しいキスを ひとつして
夢みたいな 優しいキスを