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やまいぬは書かねばと思った

へたれ女子大生やまいぬは今日も走る

やまいぬ、テレビに出るの巻

 

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今日は私がテレビに出た話がしたい。

 

 

 

 

 

 

 

なんとNHKの取材を受けたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

それは、ある映画の試写会だった。

 

 

 

 

 

 

 


「海は燃えている―イタリア最南端の島―」

 

ジャンフランコ・ロージ

監督 最新作

 

難民問題を巡るドキュメンタリー映画。

 

 

監督を招いての先行試写会が私の大学で行われたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

なんだ、こんなふざけたブログ書いてるやまいぬが、


まるで真面目な大学生みたいじゃないかって

 

 

 

 

 

 

 

思うでしょ。

 

 

 

 

 

 


話の発端は、夏の履修選択にまで遡る。

 

 

 

 

 

 

 

私はある授業を選んだ。

 

 

 

 

 

 

 

その名も「日本の多文化政策を問い直す」。

 

おお、堅い…

 

 

 

 

 

 

 

なんでこの授業を取ったのかというと、

 


私が今日の世界情勢と社会問題について

 

強い関心を持っていたから

 

 

 

 

 

 

 


なんてことは私に限って、勿論ないわけで、

 

 


まず、金曜5限で早起きしなくて良かったのと、

 


「少人数授業で、ディスカッション中心」

シラバスに書いてあったから、

 


お喋りな私なら、座ってれば単位くるんじゃないかっていう。

 

 


模範的なダメ大学生で、すみません。

 

 


でもって、この授業なら、友達出来るんじゃないか、

 

 


あわよくば、

 

 


あわよくば、彼氏出来るんじゃないかっていう

淡い期待を抱いて履修した。

 

 

 

 


やまいぬはこういう人間です。本当にすみません。

 

 

 

 

 

 


この授業は

上半期は先生の講義+ディスカッション、
下半期は3人組のプレゼンだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

期待のプレゼンのメンバーは、というと

 

 

 

 

 

 

 

イケメン2人と当たった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

というやつである。まさに。

 

 

 

 

 

 

 

私は俄然、やる気を出して、
それはそれは意欲的に授業に参加した。

 

 

 

 

 

 

 

「人間の全ての衝動の根源は性欲である」

とはフロイトもよく言ったもんだ。ザッツライト。

 

 

 

 

 

 

 

でも、そんな邪な動機で履修した私と違って、

 

二人は本当に本当に、真面目に社会問題について取り組んでいる人たちだった。

 

 

二人ともボランティア団体に所属している。

 

何でも知ってて、ちゃんと自分の考えを持っていた。

 

そして、行動している人たちだった。

 

 

 

 

 


意識の高い人たちが集まるクラスでも、
この二人は図抜けていた。


文学部畑からのこのこ出てきた私は、最初は正直、


とんでもない班に入れられてしまったと青ざめた。

 

 

 


青ざめながら、

イケメン二人にうっとりしてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちは、数か月先の、

たった20分のプレゼンのために


毎週月曜2限に集まって、勉強会をした。

 

 

 

 

 

 

 

ここから、

二人の事を「先輩」と「彼」と呼ぶことにする。

 

 

 

 

 

 

 

私たちは、

どこの班よりも頑張って

どこの班よりも仲良くなった。

 

 

 

 

 

 


私たちの会合は教授室の前にある、

陽が良く当たる小さなテーブルで行われた。

 

 

 

 

 

 

 

たまに教授が通りかかって、話しかけてくれた。

 

「あれ、やまいぬじゃないか! 何やってんだこんなとこで!!」


「先生~ 勉強会やってるんですよ~」


「なんだ、やまいぬのくせに偉いじゃないか!!」


「先生! 僕、先生が解説書いた本、今、読んでます!
この前の先生の新聞記事も切り抜きました!」


「おお! 君、後でお小遣いあげよう」


「ええ~ 先生、私も欲しいです~~」


「おい、やまいぬ。先生に失礼だぞ」


「そうだぞ、やまいぬ。僕に失礼だぞ。ひょひょひょ。
二人とも、こいつはダメ大学生だから、よろしく頼むな」


「頑張ります」


「なんとかぎりぎりやってます」


「そんな事、ないですよ~~」


「冗談だよ! 3人とも、その調子で頑張れよ!!」

 

 

 

 

 

 


会合は決まって、私が遅刻して、二人に怒られるとこから始まった。

 


たいてい、アグレッシブな彼が日本の政策やら、現状やらに怒って、

 


先輩がそれに対して、意見を言い、

 


私はそのやりとりを聞きながら、「あはは」と笑いながら

 

お菓子を食べる。

 


一番、役立たずな私は毎週、差し入れのお菓子を献上した。

 


すぐお菓子争奪戦が始まって、じゃがりこもチョコもすぐ消えた。

 


話がよく脱線して、「最近の音楽はだめだ」と彼が言い出して、

 


「じゃあ、誰が君は好きなの」って聞いたら、

 


尾崎と答えて、あまりにそのまんまで笑った。

 

 


バイオリンを10年やってる彼のお勧めのクラシックを聴こうということになって、

 


小澤征爾の「亡き王女のパバーヌ」を流してたら、

 

 


珍しく遅れてきた先輩が「あら、素敵じゃない」と言ってやってきて、

 


先輩は何故か、たまにお姉さん言葉になって面白いから、

よく真似して怒られたとか。

 


「やまいぬ、難民認定法の本借りて来い」と言われて、

 


よく分かんないから、

片っ端から山ほど抱えてきた参考文献を

 


3人で「分かりづらい」とか何とか文句言いながら

読み込んだとか、

 


先輩が物知りで、さすがの彼も恐れ入ってたとか、

 


プレゼンが無事終わったら、

先輩の家で鍋パーティしたいね、とか。

 

 

 

 

 

 

 

思い返せば、あのお日様ぽかぽかの

小さなテーブルに毎週、集まるのが楽しくて仕方なかった。

 

 

 

 

 

先輩は彼女とラブラブだったし、


彼は恋愛なんて、くそくらえ、みたいな人だったから、


色めいたことは何もなかったけどね。

 

 

 

 

 

 

 

私は同世代で、

こんなに素直に尊敬できる人たちに初めて会った。

 


初めて、本物の善意というものを見た気がした。

 


大学に入って、良かったと思った。

 

 

 

 

 

 


私も何か始めてみたい、と思って、


まずは自分の得意な文章、つまりこのブログを始めたのだ。


彼らに比べれば、お遊びでしかないのだけれど。

楽しいから、良しとする。

 

 

 

 

 

 


ちなみに、プレゼンは無事に成功した。

 

 


毎回必ず、ダメ出しをする先生に


「パッションを感じる素晴らしいプレゼンでした!」


と褒められた。先輩の作った難民認定フローチャート


授業で使いたいと先生に言われていた。さすがだなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 
件の試写会には、

二人と、さっきの「ひょひょひょ」の教授に誘われたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

試写会の後には、シンポジウムが行われた。

 

 

 

 

 

 


「学生の皆さん、監督に何か質問はありますか」


と問いかけられて、私は挙手した。

 

 

 

 

 

 

 

というのも、

 

試写会が始まる前、教授が他の学生に

 

「君たち、ちゃんと質問するんだぞ」

 

と耳打ちしてるのが見えた。

 

 

 

 

その後、NHKのインタビュアーが、

私の斜め前に座ってた美人に

 

「後でお話し伺ってもいいですか」

 

と声をかけているのも見えた。

 

 

彼女は私と同じ学科の子だった。

 

 

 

 

 

悔しかったから、絶対に手を挙げてやろうと思いながら、

映画を観ていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 


ニュースでは、ほとんどカットされてたけど、
せっかくだから、思い出して書いてみる。

 

 

 

 

 

 

 

「時間が限られている中、質問させていただき、ありがとうございます。

 

今日は友人と教授に誘われて、ここに来ました。

 

私が質問したいのは、監督はこの映画をどんな気持ちで撮ったのかという事です。

 

私は元々、社会派の映画が苦手でした。

 

何故なら、何も知らない、行動しない自分が責められているようで、

 

ごめんなさい、と言いたい気持ちになるからです。

 

監督がカメラを向けながら抱いていた感情は何なのか、

 

怒りなのか、悲しみなのか、

ずっと考えながら映画を観ていました。

 

 その時、会場から笑いが起きました。

 

主人公の少年の無邪気な姿に、笑いが起きたのです。

 

私はその時、この映画は肩の力を抜いて観ていいのだな、

と思いました。

 

映画の最後の音楽にも救われました。

 

そして、今、監督が優しく話を聞いてくださっている事に

も救われました。

 

私は、ごめんなさいではなく、島の人たちと同じように

 

ありがとうございます、と言いたいです。

 

 最後にもう一つ、聞きたいことがあります。

 

どうしたら、そんな風に島の人たちと仲良くなれたのです

か。

 

 今日は来て良かったです。ありがとうございました」

 

 

 

 

 

 


監督の言葉で心に残ったものがある。

 

「悲しみは、悲しみだけを伝えるのではだめだ。

Lightnessが大事だと私は思う。

君が言ったように、少年の姿や、

最後の明るい音楽が伝えられることがある」

 

 

 

 

 

 


試写会の後、会場の沢山の人に褒められた。

 

 


教授に初めて褒められた。

 


「最初、お前が挙手して、

 

しかも僕の名前を出すもんだから、

 どうしようかと思ったけど、

 

いやぁ、よくやったな、やまいぬ。見直したよ。

 

お前の素直な言葉が、

 

記者会見で誰も引き出せなかった

 

監督の新たな言葉を引き出したんだ。

 

監督も喜んでたよ」

 

 

 

 

 

 

 

帰り際、インタビュアーの人に声をかけられた。


「私、泣いちゃいましたよ。

見てください、この濡れティッシュ。私の涙ですよ。

この仕事やってて良かったと思いました」


「いやぁ、僕が若い時には、あんな事、考えらなかったなぁ」

 

 

 

 

 

インタビューで、


「この映画はどんな映画でしたか」

 

と尋ねられ、

 

「優しい映画でした。自分に何が出来るか、ゆっくり考えて行きたいです」

 

と答えた。

 

 

緊張で口元が強張って、

目つきの悪い私の顔が翌日、テレビに流れた。

 

 

 

 

 

 


帰りに行った鍋屋さんで、彼に言われた。


「俺、あんな風に自分の気持ちを言葉にできないよ。


改めて、やまいぬの事、尊敬したよ」

 


それから、最後のエビフライを譲ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今度は先輩の家で、お鍋しようね。

 

 

 

 

 

 

 

今日は「やまいぬ、テレビに出るの巻」というお話でした。

 

 


続きは、また今度。

 

 


やまいぬでしたʕ ・(エ)・ʔ

 

 

✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†+✽――

 

 

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